
医大から
放射線関係の書類が
ファイルで送られてきた。
たしかに、3.11のときは
数ヶ月で1年分の自然被爆量を
被爆したが、特段、健康には
影響がないと思っている。
ただ、ロングスパンでの
低線量被爆のデータを
人類は持っていないようで、
我われは医学的には
かっこうのモルモットなのかもしれない。
3.11直後の医大の入学式で、
放射線医学の権威が
新入生に向かって
そのようなことを祝辞に言っていた。
***********
人生随談
奈保子 ここで、楽音に対して、自然音について、いろいろ考えてみたいと思いますが…。まず、「癒しの音」というと、どんな音を連想されますか?
先生 あのね、むかし、生録ブームというのがあってね、そういう自然音のレコードが出ていたんです。私も「波」と「風」と「雨」というのを3枚買ったんです。
奈保子 へぇ~。やはり、癒しが目的なんですか?
先生 ヒーリング・ブームはずっと後になってからで、その頃はまだ、効果音として出されていたんですね。でも、副次的に「心が穏やかになります」って書いてありましたね。それと、当時のウィスキーのCMに、音楽に波の音をブレンドする、っていうのがあってね、外人さんがレコードをかけながらバックに波の音のテープを流すんですよ。それが、なんだか渋くて、さっそく真似してみましたよ(笑)。
奈保子 波の音はたしかに癒されるものがありますね。
先生 うん。ひと頃、それに凝っていたんで、朝の目覚まし代わりに、タイマーでカセットデッキから波の音が流れるようにセットしていたんですね。そしたら、ある日、大学のギター部の仲間が泊まりに来て、朝方、枕元で波の音がザザザするんで溺れる夢を見たんですと(笑)。
奈保子 アハハハ。それは面白いですね。眠気マナコのときに聞かされたら、無理もないですね。
先生 それと、鳥の鳴き声のテープなんかも、ずいぶん昔は出ていましたね。
奈保子 カッコーやウグイスなんかは、起きがけに聞いたら、まるで高原にいるような錯覚になるかもしれませんね。
先生 そうそう。気持ちが穏やかになりますよ。それとね、「風」のレコードの中に台風のときの暴風雨の音があったんですが、不思議とこれを聞くと、やはりどこか緊張するのかなぁ…。10分くらいの録音なんだけど、聞き終わって、静寂になったときに癒しの効果があるのに気づいたんです。
奈保子 なるほど。やはり、どこか心理的にホッと安堵するんですね。
先生 緊張と緩和だね。あ、そういえば、「小川」というレコードもありましたね。チョロチョロチョロという水の流れる音が幾種類か入ってるんです。そして、滝の音もあって、目をつむると渓谷にいるような錯覚がしましたよ。
奈保子 自然音には、楽音と違った癒しの効果があるんでしょうね。
先生 日本人は虫の音に風情を感じたりして癒されるけど、外人にはただのノイズにしか聴こえない、っていうでしょ。だから、万人向きでないのもあるとは思いますよ。
奈保子 ああ、そうなんですか。知りませんでした。
先生 でも、外人のバカンスはシーサイドとかレイクサイドでしょ。そこには、波やら川やらの水の音があって、鳥が鳴いたりしてるものね。自然音に癒されに行くというのは都会人のバカンスになったのかもしれませんね。
奈保子 その点、日本は自然に囲まれていたから、ことさら、バカンスに出かけるまでもなかったのでしょうか。
先生 なるほど。あるいはそうかもしれないね。