
昨日は、朝方
薄っすらと雪が積もっていた。
前日は、日中、
20度もの温かさだったのに
一転して一晩で0度になった。
今週も寒暖差があり、
今日は温かくなり、
また数日後には寒くなるという。
週内変動も日内変動も激しく
天気予報では繰り返し
体調の管理に注意を
喚起している。
この時季、花粉症もあるから
体がだるいやら、目が痒いやら、
舌も変な苦味があって、
体に変調を来たしている。
昨日は、カウンセリング中の2時46分に
小野町ではサイレンが鳴り、
女子生徒と共に1分間の
黙祷を捧げた。
23.000もの人々が
この数時間後に津波で
亡くなったのである。
2年前の出来事とはいえ、
原発事故の被災地に住む者には、
まだまだ風化することのない
大惨事である。
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人生随談
奈保子 このあたりで、「感動」について、ちょっと魂理学的な分析もしてみたいのですが。私の考えでは、抽象的ですが、「魂にふれる体験」とか「琴線にふれる体験」「身も振るえるばかりの体験」というようなことが連想されます。
先生 一般には、そんな感じなのでしょうね。
奈保子 ちなみに、久しぶりに『広辞苑』を紐解いてみましたら、「深く物に感じて心を動かすこと」とありました。
先生 意外に素っ気ないんですね(笑)。
奈保子 重い思いしたんですが…(笑)。
先生 パソコンになってから、すっかり『広辞苑』ともご無沙汰してますね。
奈保子 今は、スマホやタブレットでも何でも調べられますからね。
先生 それでも、こういう時には『広辞苑』は一つの標準定義みたいなものを提供してくれるでしょ。
奈保子 そういう意味ではまだ利用価値がありますね。
先生 ただ「感じる」んじゃなくて、「深く感じる」というのが「感動」の定義なんでしょうね。
奈保子 そうすると、日常の瑣末なことは、印象にも記憶にも残らないので、当然ながら感動的出来事ではありませんね。
先生 まぁ、当たり前かもしれないけど、三度の食事を美味しく頂いても、一日たったら忘れてしまいますものね。
奈保子 でも、「このお酒は美味しい」とか、「夕べ飲んだお酒は美味しかった」というように、長い記憶には残らなくとも、瞬時に感動したりショートスパンで印象が残っているということはありますよね。
先生 あるね。それも感動なんだと思いますよ。「深さ」には幅があるでしょ。
奈保子 そうですね。深度はスペクトラム(連続性)ですものね。
先生 ただし、「魂」とか「琴線」というのは、表層ではなく、深層というか最深部にありそうでしょ。
奈保子 はい。そういう所まで「感じて動く」のは、狭義の「感動」なのかもしれませんね。
先生 いわゆる「人生十大事件」とかに入るものなんじゃないですか。
奈保子 広義の「感動」には、「このドラマは面白かった」というのがあってもいいですね。浅い「感動」ですが…。
先生 「浅感」(あさかん)と「深感」(ふかかん)があるんだね(笑)。
奈保子 「せんかん」と「しんかん」の方がいいんじゃないですか(笑)。
先生 ついでに、「中感」(なかかん)はどう?
奈保子 「ちゅうかん」ですか(笑)。単なる言葉遊びみたいです…(笑)。
先生 そう。遊びですよ。「感動」を分類して遊んでるんです。
奈保子 でも、日常会話で「それは、深感でしたね」というのも、何だか変です。
先生 うん。かなり変だね。「今日のラーメンは美味しかったけど、中感だった」なんて…(笑)。バカみたいだわ。
奈保子 ユングはたしか、芸術作品などで「我われの元型を刺激しないものは今日もてはやされても、価値あるものとして未来までは残らない」というようなことを言っていましたね。
先生 そうそう。蓋し名言だと思いますよ。その場合の元型も、深層にあるものですよね。
奈保子 深層心理学ですからね。
先生 うん。表層ではない。
奈保子 物語の場合ですと、一つのパターンがありますね。例えば、貴種流離譚やヒーローズ・ジャーニーという。洋の東西に通低した…。
先生 はいはい。ある種の元型ですね。
奈保子 人々が何故にそのパターンに感動するのか、というのは、誰にも「英雄元型」があるからなんでしょうね。
先生 そうだと思います。それと、「夜の航海」とか「死と再生」という元型も関係してますよね。
奈保子 ああ、そうですね。
先生 物語のパターンというのは、もう世界中の民話や伝承に出尽くしていて、今日のドラマや映画はそれをなぞっているようなものでしょう。
奈保子 そうかもしれませんね。
先生 だから、最近の映画なんかですと、ストーリーよりもCG画像とかスターに重きを置いて、物語性が実に浅薄なものが多いですよね。
奈保子 よく、先生が「ハリウッドの病理」と仰っていることですね。
先生 それか、ビックリさせたり、ハッタリこいたり…。エグい。グロいというのもあるしね。
奈保子 小説なんかでも、基本は、「A boy meets a girl」か「A girl meets a boy」に尽きますものね。
先生 そうですね。「異質なものが出会い、新たなものが生まれる」という意味ではアーキタイパル(元型的)ですね。
奈保子 老人と少年が出会ったり、地球人と宇宙人が出会ったり…。
先生 閉鎖系の同質性の中からは、物語が生じないんですよ。
奈保子 「何も始まらないし、何も終わらない」からですね。
先生 そうそう。談志家元は「ハリウッドの病理」として、「不安がらせて安心させる」のばっかり、と言ってましたね。
奈保子 予定調和型ですね。主人公やヒーローはどんな危険な目にあっても絶対死なず、最後にメデタシ、メデタシとなる。
先生 だから、スレた受け手になってくると、どーせ死なないんだから、とドラマにスリルを感じなくなっちゃうんですね。
奈保子 それを誤魔化そうと創り手はさらにオーバーに仕掛けをしてくるんですね。
先生 そう。早い話が、「制作費100億円!」とか「オールスター出演!」とか物語の本質とはかけ離れてくるんですよ。
奈保子 もう、人類にとっての物語のパターンは出尽くしちゃったから、後は、それをどう新しく組み合わせるか、壊すかしかないんですね。
先生 うん。そうかもね。
音楽ならば、ドレミの12音の組み合わせは無限に近いから、似たようなメロディーは出来るかもしれないけど、全く同じ曲にはならないし、歌曲でなければ、元々、意味を持たない抽象的表現だから、元型的支配は受けないわね。
奈保子 そうですね。そこが、言語的に有意味な物語との相違ですね。
先生 でも、考えてみれば、非言語的で無意味な純器楽曲に感動するのは不思議ですね。