多賀城勤務の親友が
津波に呑まれながらも
助かったという体験談を聞いた。

3.11のとき
海から2キロ離れた
多賀城駅近辺を走っていたら
地震の数十分後に
1メートルほどの津波が
道路の上をやってきて
交差点で左右に分かれたときは
50センチほどに水位が下がったが
それでも停止していた車は浮き上がって
同乗者5人と共に車外へ出たという。

腰まで水につかったものの
激流のような流れに
背中を押されるように流され、
道路脇の直径30メートルほどの渦に
他の車ともども巻き込まれたという。

津波の本流は道路を滑るように
流れていき、その先に
渋滞していた車をことこどく
飲み込んだらしい。

深さが2メートルほどにもなった
渦の外周は、角速度によって速く
内側がゆったりだったので
中心付近に浮いていたトラックの
屋根に数人でしがみついて
しばらく浮遊していたという。

渦の勢いが緩む機に近くのビルに
たどり着けて、まさに
九死に一生を得たのだった。

イタリアン・レストランで
会食をしながら話を聞いたが
テレビで津波の映像が流れると
もう見たくもない、と言うので
PTSD様の回避性傾向があるようだった。

フラッシュバックなどを
起こさないことを願うばかりだが
なにせ、生死の境を体験したのだから
PTSDの定型症状が出たら
心理カウンセラーとして
力になってやろうと思っている。


  ひたすらに
   往きて還らぬ時とともに
    わが今日の生刻々と歩む

              碧水歌















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