=第41話「祈り」=
我が家に戻ってきたぐれおじさん
一息ついて、ブログとTwitterで彼の様子を報告していました。
今日は彼と静かに過ごそう。沢山思い出話をしよう。
そう思った矢先、
急変しました。
今まで見た事のない激しい発作。
Yuさんの腕の中で、手足を震わせながら、
舌を出してハアハア。
時おりギューッと体を丸めて、また痙攣。
心臓が悲鳴をあげているのが伝わってきました。
「そんな、まだ早いよ!」
僕にはぐれおじさんを撫でてあげることしか出来ません。
「病院で我慢してたんだね・・・でも、まだいかないで・・・ぐれちゃん、ぐれちゃん!」
なんとか踏ん張って欲しくて声をかけ続けました。
ずっと応援してくれたフォロワーのみんなにも
「力を分けてやって下さい」
とお願いしながら、神様にお祈りしました。
せめて、もう少し時間が欲しい。
まだ、話したいことがあるよ。
猫家族たちも静かに見守っていました。
10分くらいの闘いだったでしょうか。
もうダメかというイメージを必死に振り払いながら声をかけ続けていたら
ふと、ぐれおじさんの体の力が抜けて、
次第に痙攣がおさまっていきました。
そして、緩やかに呼吸を始めました。
奇跡的に
戻ってきてくれました。
みんなの祈りが届いたのです。
神様と応援してくれているみんなに感謝しかありませんでした。
「ぐれちゃん、頑張ったね・・・」
Yuさんは
「良かったぁ・・・」
といって泣きだしました。
まだ彼と話が出来る。その喜びでいっぱいでした。
手足は突っ張ったまま動かなくなりましたが、しっかりと呼吸をしています。
その後、Yuさんと交替で抱っこしながら温めてあげました。
しばらくしてYuさんはぐれおじさんの大好きなケンタッキーを買ってきました。
最期くらい好きなものをと思ったのですが、反応はありません。
でも、懐かしんでくれてたかな。
小さい頃、手のひらを火傷したこと。
風邪ひいて大変だったこと。
脱走して床下に隠れたこと。
ご飯の時にはいつも隣に行儀よく待機してたこと。
たくさんの思い出を語りました。
猫たちも代わる代わる寄ってきていました。
彼のおかげでこんなに大きくなった猫たち。
みんな
「ありがとう」
って声をかけてたんだと思います。
小さな痙攣をしたり、目は天井を見つめたままでしたが、先ほどの発作が嘘のように、静かな時が流れていったのでした。
幸せなひとときでした。
第41話 完