=第39話「最後の希望」=
3/22の夕方、心停止の可能性があると言われて病院で処置をしてもらっていたぐれおじさんを迎えに行きました。
お医者さんはなんとも言えない顔で迎えてくれました。
「カリウムの数値が異常に高かったので、下げるために点滴をたくさんして、なんとか今は数値は下がっています」
ほっと胸をなでおろしました
でも、
「ぐれちゃんの頑張ってた正常な腎臓も、もう限界です。証拠に、処理できない水分が・・・」
ぐれおじさんの下半身は水でタプタプになっていました。
「で、今後はどうでしょうか?」
少し間を置いて、お医者さんはこう答えました。
「正直・・・もうやれることはないかもしれません」
酷なことを聞いたなと思いました。
いつかは向きあわないといけない事実。
でも、心のどこかで、希望の光を求めていたんです。
「あとは、なんとか、血糖値などを維持するしかないですね・・・」
そう言われて、グルコース溶液や、点滴パックをもらって帰りました。
家に帰ったぐれおじさんには、家族たちが集まってきました。
「大変だったね」
「意地悪されてない?」
そんな声が聞こえてくるようでした。
ぐれおじさんは強制給餌の後、自分で水を飲みに行き、いつものように、お気に入りの猫ハウスに入っていきました。
こうなったら、一日一日を大切にするしかない・・・
枕元のぐれおじさんに
「頑張ろうね」
と言いながら
「まだいかないで。お願い!心の準備が出来てないよ・・・」
というお祈りをしていました。
そんな中、ルナくんも、夜通しぐれおじさんのそばにいてくれました。
僕もその日はほとんど眠れませんでした。
ぐれおじさんの手を握りながら
「朝を迎えてね・・・」
そう祈りながら。
それだけが望みでした。
そして、
運命の日を迎えることになったのです
第39話 完