=第30話「宣告」=
ぐれおじさんの検査結果を見ながら、お医者さんはこう続けました。
「ぐれちゃんの腎臓は今、30パーセントしか機能していないので、点滴を続けて体液量を増やし、老廃物を外に出す手助けをする必要があります」
「それで、どのくらい頑張れそうでしょうか」
震える声で聞きました。
「1年くらいか、もって3年でしょうか・・・」
言葉が出ませんでした。
現実を受け止めきれませんでした。
これまで当たり前のように過ごしてきたぐれおじさん。
大きな病気もなく、いつも
「手がかからなくて偉いねぇ。20歳は余裕で超えちゃうね」
なんて言っていたぐれおじさん。
涙が溢れてきました。
でも、片方の腎臓はまだ生きてる。望みを託して一緒に頑張るしかない。。。
ぐれおじさんの頭を撫でながら
「それで、まずはどうしたらいいでしょうか」
と尋ねると
「しばらくは通院してもらって毎日点滴しましょう。数値が下がってきたら、ご自宅で点滴できるようにしていきましょうか」
「分かりました。。。」
そして、ぐれおじさんの点滴が終わるまで預け、後で引き取ることになりました。
余命1年。。。
頭の中をこれまでのぐれおじさんとの生活が駆け巡りました。
家に帰って、ほかの猫たちに餌をやりながらも、心ここに在らず。
そして、夕方、ぐれおじさんを迎えに行きました。
「まだ数値は少ししか戻ってませんから、明日からまた連れてきてくださいね」
そう言われて、ぐれおじさんを連れて帰りました。
帰ってきたぐれおじさんに擦り寄ってくる猫たち。
「みんなで頑張ろうね。。。」
そう言いながら、ぐれおじさんの頭を撫でてあげるのでした。
第30話 完