=第25話「ワンコがやってきた」=
僕は小さい頃から犬も大好き。
実家では、雑種、ポメラニアン、フラットコーテッドレトリバーを代々飼っていました。
僕自身は猫家族が出来たので、犬を自分で飼うことなど考えていなかったのですが、ある日、ふと立ち寄ったペットショップで衝撃的な出会いが。
それが、キャバリアと狆のミックスのナナちゃん。
膝の上にちょこんと乗せられた、ナナちゃんのくったくのない笑顔に一目惚れしてしまいました。
一緒にいた元奥様のYuさんに
「散歩連れて行って、僕もダイエットにもなるから、お迎えしない?」
そう説得して、ナナちゃんを迎え入れる承諾を得ました。
そして、我が家に初めてのワンコがやって来たのです。
ショップでは大人しく甘えんぼな様子だったナナちゃん、我が家に連れて帰ると、猫たちの反応はたいそう面白いものでした。
ケージに入れられたナナちゃんに
「え?何この生き物?」
「なになに?ウケるんだけど」
そう言いながら猫達が集まってきたのです。
それはまるで動物園のゴリラの檻に群がる人間のようでした。
ナナちゃんの、一挙手一投足に反応してしまう猫たち。
その様子を撮影した動画は、2015年のYouTubeの発表するペット動画ランキング5位になりました。
我が家の中でも、ナナちゃんが台風の目になったことは言うまでもないありません。
ナナちゃんは誰に対しても
「遊んで!遊んで!」
と懐くワンコでした。
正直、猫達は
「ちょっとそのテンションついていけないにゃ」
というリアクションでしたが、
ぐれおじさんだけは、いつもと変わらない落ち着いた対応でした。
マンチカン一家が、みんな猫タワーに登ってナナちゃんを見下ろす中、いつもと変わらず静かにそばに居てくれるぐれおじさんに、ナナちゃんも救われたことでしょう。
結局、ナナちゃんは僕が独り身になるタイミングで、実家に引き取ってもらうことになるのですが、フラットコーテッドレトリバーを亡くしてペットロスだった父親の心の穴を埋め、今でも、たくさんの愛情を注がれて成長しています。
ちょうどこのお話を書いている今、実家の鹿児島で、隣にナナちゃんがいます。
距離が離れても、時間が経っても、相変わらずの人懐っこさでそばにいてくれてます。
第25話 完