=第24話「ピンチを救ったぐれおじさん」=
2014年の7月、それはとても暑い日でした。
僕はいつものように予備校で仕事をしておりました。
夜19時くらい、少しお腹が空いてきたので、何か食べようかとしていた時、元奥様のYuさんから一通のLINEメッセージが入ってきました。
「猫が出ちゃった!!」
最初は意味がよくわかりませんでした。
すると続けて、
「メルが窓の外歩いてる!」
なんと、猫が脱走したというのです!
Yuさんがお掃除をしていたとき、ぐれおじさんが窓に向かって鳴いていたそうです。何事かと窓の方に目をやると、メルが窓の外を歩いていたと。
どうやら、どの猫かが網戸を開けてしまったようなんです。
Yuさんは直ぐに外に駆け出しました。すると、家の裏をティオとメルが探検してたのです。捕まえようとするとタタッとかけていってしまう。
「どうしよう。捕まらない!」
テンパってしまっていたYuさんに
「一番好きな猫じゃらしを振ってみて!」
と送りました。
すると、数分後、
「2匹とも捕まえたよー」
ほっと胸をなでおろしました。
ところが、
「ルナもいない!!」
「どうしよう!」
「道路にもいない!」
立て続けにメッセージが来ました。
「音のでる猫じゃらしを振りながら、家の周り歩いてみて!」
そうメッセージを送りつつ、僕は仕事を早退しようと準備をはじめました。
そして、10分くらいが経過し、会社を出ようとしていた時、
「いたー!」
と連絡が来ました。
ルナは道路を挟んだ向かい側の大きな駐車場で遊んでいたようです。Yuさんが猫じゃらしを振り続けてたら、遠くの方からルナがテクテク歩いてきたそうです。
車に轢かれでもしたら大変だと、生きた心地がしなかった10分間でした。
我が家は玄関に猫脱出防止の内扉をつけていたり用心はしていたのですが、まさか網戸を自分たちで開けてしまうとは。
翌日、ホームセンターで網戸ストッパーを買い、全ての窓に取り付けました。
それにしても、あの時、ぐれおじさんが窓に向かって鳴いていなかったら、もっと気付くのが遅くなり、ルナは戻ってこなかったかもしれません。ましてや、他の子も出ていった可能性もありました。
ピンチを救ってくれたぐれおじさん。
本当にありがとうね。
第24話 完