それはまるで早い調子で響くうたのように | あたしの海にさよならを

あたしの海にさよならを

あなたはあたしのすべてだったの。 だからさようなら。 さよなら、あたしの海。

だから私は偽りの「聖母」を続ける。


聖母の慰め ――witchcraft rites――


「どうか私にくちづけを」

演技がかった口調で、その男は言った。若く甘い顔立ちの彼は、いつもにこやかに、唐突なことを言う。いつだって彼の本心は分からない。何を思って私――聖母と呼ばれる存在――に、くちづけを、などと言ったのかなんて、私には想像すらできなかった。…否、まともな思考さえできていない。私はただ混乱していた。狼狽する私に、その少年のような笑顔を向けながら、彼はもう一言放った。

「この哀れな狗に、どうかくちづけを」

彼は自分を狗と呼ぶ。あのひとの狗だと、心から楽しそうに言うのだ。彼はあのひとの話をする時は、誰にでも分かる程にやさしい顔をする。あのひとは、それだけの力と、それだけの器、それだけのやさしさを備えている。あのひとが黒といえば全てが黒になる、それだけの支配力を持っている。悪く言えばグランテ中のヒトを抹消することさえできる。彼のうたは、それだけの力があるのだ。しかし彼は馬鹿みたいにやさしい。彼は――

「ランサーの事は、今は忘れて?」

甘えるように、私の思考を遮断する少年のような声が鼓膜を刺激する。ランサー、私が呼べないその名を、彼は軽く呼ぶ。…ランサー。あのひとは、誰かを護る為の槍騎兵。きっとそれは私ではない。だから私はあのひとを名前で呼んではならない。その名前は、私に呼ばれるためにつけられた名前ではないから。(彼も私に呼ばせたくないのだろう)

「どうか、私めに」

あのひとと違って、彼の思考は一切読めない。あのひとはいつだって誰かのために動く、故に行動が分かりやすい。逆に彼は、たまに誰のために動いているのか分からなくなる。今は彼自身のためなのか、――私のため、なのか。
静寂。鼓動だけがやたらと響き、決断を急かす。まるで生き急ぐヒトのように。まるで終章へと移る早い調子のうたのように。

「…大丈夫ですよ」

だから私は、

「アレキサンダー=アーヴィング」

「聖母」の態度を取った。



「…そーいう意味じゃ、ないんだけどなぁー…」

額を撫で、彼は苦笑いをした。彼の体温はあのひとよりも高く、ヒトらしさを感じた。ヒトは複雑だ、深層で何を思っているのか第三者には判断できない。あのひとが特殊なだけだ。私はいつだってあのひとのことしか考えていない。あのひとへの想いはきっとただの嫉妬と分かっていても、それを恋だと錯覚しようとする自分、そのさまを遠くから客観視しようとする自分がまた苛立たしい。だからこの位置に居る。そうする事で、自分の醜さから、少しだけ目を逸らせられるから。

「まあいいか。じゃあまたね、 リリーシェルダン様」

私はいつだって、偽りの「聖母」。
結局は罪人でしかない私は、いつもの仕事場に足を踏み入れる。








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皆様が、「ねぇ、ちゅう、しよう?」を書いてる中私はもはやちゅうとはなんぞやというきったねー文章を書いているという\(^o^)/
ほんと文章苦手なくせに書きたがるのはなんなんでしょうね!!しかしこれ漫画モドキにしたら5枚もかかんないと思います\(^o^)/

なぜ「ねぇ、ちゅう、しよう?」じゃないのかって?
単純、「ちゅう」という擬音がグランテには存在しない!!←←←
いやこれグランテ語の訳ではあるのですが、ちゅうという表現はないなぁと思い急遽変更\(^o^)/

文章、苦手!!(涙)