2026年を迎えました。皆様、おめでとうございます!
勝海舟の生涯を手がかりに他人に流されずに生きるヒントを探し続けている、
歴史大好き社労士の山路 貞善です。
昨年末のブログでお伝えしましたが、今年から『海舟ブログ』を再開させていただきます。
3年振りの投稿となります。改めましてよろしくお願いいたします。
さて、今回は再開第一弾です。
いつものように前回の続きから始めさせていただきます。
とはいえ、投稿間隔がかなり空きましたので、まずは、「復帰―再任と裏切り」の章を振り返りから始めましょう。
今回と次回の2回に分けてお伝えします。
【 前回までのまとめ 】
前回(といっても丸3年前になりますが)、最後にお話したのは、慶応二年(1866年)9月、勝が一橋慶喜の命を受けて、長州藩との交渉に臨んだ時の経緯についてです。
宮島の大願寺で、長州藩の使者との会見に臨みました。
これ以降、政局は大きく動き、大政奉還が行われのは、この一年後のことです。では話を始めましょう。
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この頃、第二次長州征伐による幕長間での戦闘はすでに始まっており、幕府方の敗北が続いていました。
7月20日、徳川14代将軍家茂(いえもち)が大阪城内で亡くなりました。享年わずか21歳。幕府内に大きな衝撃が走ったことは言うまでもありません。
一橋慶喜は、この将軍の喪を伏せて、「長州大討込」と称して自ら指揮を執り、長州領内に攻め入ると決意を表明し、会津・桑名の同意と孝明天皇の支持を取り付け、戦準備に専念していました。
そんな矢先、驚くべき知らせが届きます。長州攻めの幕軍重要拠点である小倉城が陥落したのです。将軍没すの報が届くと小倉口の責任者であった老中小笠原長行が動揺し、戦線を離脱。老中自ら逃げ出すようでは幕府に勝ち目はありません。
報告を受けた慶喜は、これまでの方針を撤回し、突然出陣を中止すると言い出します。不利だと判断すれば、誰に相談することなく中止を決めてしまうのが慶喜という人物。ですが、こうした変わり身の早さに周囲はついていけません。案の上、周囲は大混乱に陥ります。幕府内の反発はもとより、会津藩は怒りを爆発させました。
つまづいた慶喜は、越前松平春嶽(しゅんがく)に救いを求めました。
幕府を生まれ変わらせる好機になると判断した春嶽は、慶喜に7か条の勧告(第173話)を伝え、その実現を迫ります。これは事実上の「大政奉還論」です。
(左または上:一橋慶喜、右または下:松平春嶽)
この時、勝は大坂城に出仕していました。老中板倉勝静(かつきよ)の進言により慶喜は、これまで遠ざけてきた勝を呼び寄せるため上京を命じています。長州藩との止戦交渉の使者として起用することを考え始めていたからです。
勝を起用することをどう思うかと慶喜から問われた春嶽は、同志である勝の起用には異存はありませんでした。ですが、勝の起用を巡って両者の考えには、かなり開きがありました。
慶喜は勝を単なる止戦のための使者としてしか考えていませんでした。
それに対し、春嶽はこれまでの幕府政治を改め、諸侯会議による公議・公論による政治体制づくりの好機到来と考え、その実現のために勝を起用することを考えていました。
その道筋をつける役割を担えるのは勝以外にはおらず、幕府から送り込む使者としてぜひとも勝を起用したいという意向が春嶽にはありました。
こうした双方の微妙な温度差が、後に新たな決裂を生み出すことになります。
この度の勝の任務は2つ。
1)慶喜の命により幕府側の密使として単身敵地に乗り込み、長州側に戦闘をやめさせ、撤退させるよう命がけで説得すること。
2)長州藩に幕府政治を改めることを慶喜が約束したことを伝え、理解を得ること。
ですが慶喜は変わり身が早く、勝にすれば信頼に足るとは言い難い人物。
慶喜に果たして幕府政治を一新し、「天下の公論」に基づく政治を本気で行い、誠実に約束を守ろうとする意思があるかどうか。勝は、出発前に念押しをしておく必要がありました。
勝が示した覚悟に対し、慶喜は自らの筆で付箋に「見込みの趣、尤(もっと)もに存じ候間、十分取り計らい申すべき事」と返答の言葉を書き与えました。微妙な言い回しながらも、勝の言い分を認めた恰好です。
これまでに何度も裏切られ苦い想いをしてきた勝と春嶽でしたが、慶喜の言葉を信じることにしました。そして「最早大路は開けたり。以後小路は如何様にもなるべし」と未来の希望が見えたと共に喜び、勝は命を落とす危険も省みず、敵地での交渉に向かいました。
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さて本日はここまでといたしましょう。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【参考文献】
・「勝海舟」 松浦 玲 中公新書
・「勝海舟」 松浦 玲 筑摩書房
・「徳川の幕末 人材と政局」 松浦 玲 筑摩書房
・「勝海舟全集1 幕末日記」 講談社
・「勝海舟全集18 海舟日記Ⅰ」 勁草書房
写真・画像: ウィキペディアより

