こんにちは、皆さん。
歴史大好き社労士の山路 貞善です。いつもお読みいただきありがとうございます。
【どんな風にしてブログを書いているか】
前回で咸臨丸渡航のお話をようやく書き終えることができ、ホッとしています。
今回はいつもと趣を変え、このブログを書く上でのよもやま話を書いてみたいと思います。
さて咸臨丸に関する話は前々章「咸臨丸の出航が決まるまで」(10話)と前章「挑戦-太平洋横断とアメリカ社会」(21話)の計31回お届けしました。
「咸臨丸の出航が…」の第一話は昨年11月でしたから5カ月間に亘り咸臨丸のことを語り続けていたことになります。この間、咸臨丸で航海を続けている気分であったため正直なところ、まだ余熱が冷めやらずにいます。私の中では航海から帰り着いたのに船から降りられていない、そんな氣分です(笑)。
今回はその余熱のままに、少し寄り道をしてみたいと思います。コーヒーブレイクと思ってくだされば結構です。
時折、どうやってブログを書いているのと何人かの方から尋ねられることがありますので、その辺りのこともこの機会にお話しようと思います。
(当ブログがあるのも先人が遺された労作となる史料のおかげです)
幕末は激動の時代、変革の時代ですが、多くの命が失われた時代でもあります。勝も命をいつ落としてもおかしくない時期がありました。
光と影が交錯した時代です。
ですが咸臨丸で渡米し滞在した期間は、勝の生涯でもこうした暗さや凄惨さがなく、前途に明るい希望と未来を感じさせる唯一の時間でした。しかも人格に優れ尊敬できる複数のアメリカ人に出会い、善意に満ちた人々に囲まれて見聞を広める日々は勝にとって至福の時間だったことでしょう。
それだけに前章については私自身も明るい気分で楽しみながらブログを書くことができました。
歴史ブログを書くというのは、一般のブログを書くのとでは少し違うところがあります。書く以前の作業としてやはり丹念に調べる時間が必要になります。
例えば日付一つを取ってもそれなりの確認作業が必要です。複数の史料にあたり、間違いがないか確かめることになります。というのは記録している本人の記憶違いや誤解もあるからです。
勝が語ったり、記録した年や日付には記憶違いや記載誤りが散見します。往時を振り返るのですから年齢を重ねるうちに記憶があいまいになるのは止むを得ないことかもしれません。勝に限らず本人が書いた記録だからといってそのまま鵜呑みにはできないことがあります。
またその時代の背景が影響してあえて真実を語らず、ある意図を持ってウソが語られることもあります。
福沢諭吉が『福翁自伝』の中で、咸臨丸で太平洋横断したことについて日本人の技量の優秀さと勇気を謳いあげ、日本国の名誉であると高らかに誇っています。そして航海中、「けっしてアメリカ人に助けてもらうということはちょいとでもなかった。ソレだけは大いに誇ってもよいことだと思う」とまで語っています。
ブルック大尉らアメリカ人らのサポートが無ければアメリカ大陸にたどり着くことはなかったことを自身の目でしっかりと視ていたのは当の諭吉先生です。ですからこれは記憶違いではなく、明らかにウソです。
ではなぜ事実でないことをわざわざ語ったのか。
この自伝が口述筆記されたのは、明治31年から32年にかけてです。この時期は日清戦争直後にあたります。同37年には日露戦争が始まります。歴史的人物の発言や記録にはそんな時代的気分と背景が影響していることも頭に入れておかねばならないのです。
(このパソコンで書く作業をしています)
私の場合、一話を書くのにとても時間がかかります。
何日かに分けて数時間、時には10時間以上になることもあります。
お読みいただくことはその方の貴重な時間を拝借することになります。ですから毎回できるだけ読み応えのあるものを提供したいと考えています。そのためそれなりの手間が生じ時間はどうしてもかかってしまいます。
各話の出来映えについては読む方の判断に任せるしかありません。時間をかけまずまずかなと思い投稿したところ反応が無かったり(グスン)、思いがけないところで反応があったりと色々気づかされることがあります(笑)
「いいね」や、また短くてもコメントをいただけると大変嬉しいです。読んでいただいていることがわかるからです。発信する側からはどなたが読まれ、どんな感想をお持ちなのかがわからないのでわざわざ時間を取って返して下さるのはとても嬉しく励みになります。
読んでいただけることに感謝しながらこれからも書き続けていきます。ちなみに最近は年度替わりにより新たなタスクが増え公私両面ともに忙しく、ブログ作業の時間の確保が難しい日々が続き苦戦しています(ちょっと泣き言です)。
【今後のことについて】
少しこれからのことをお話します。
実を言うと前回までが第1部にあたります。85回もかかってかいと言われそうですが…(笑)
次回から第2部がスタートします(これから準備を始めます…)。
第2部では、いよいよ勝海舟が時代の最前線に登場します。
幕末がますます混迷の度合いを深めていく中、幕臣勝麟太郎は幕府の要職に就くものの抵抗勢力に阻まれ、罷免と再登用を繰り返します。幕末史で最も人気のある坂本龍馬や西郷隆盛も登場します。勝が幕末史においてメンターとして役割を果たす時期ですから一層興味を持ってお読みいただけるのではないかと思っています。
どうぞこれからもおつきあいの程、よろしくお願いいたします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。