芸能の世界とマネジメント -21ページ目

芸能の世界とマネジメント

芸能界、芸能人のために論じます。

いよいよ将来展望についてお話ししようとする段階へと入っておりますが、昨日は破壊的イノベーションを起こすために、アイドルグループのLinQは普通のポップス業界へ参入すればどうだろうか?という一応の結論を出しておきました。これについて多少の解説を行いたいと思います。

これはアイドルが好きであろうとなかろうと、なんでこうなったかはわかりませんが、いわゆるポピュラー音楽のカテゴリーにアイドルの音楽は存在せず、アイドルの音楽は「ヲタク枠」とういう特別枠が設定されておりまして、既存のアイドルはそこのカテゴリーに入ることでゴールとなります。ですから、隔離された状態に自ら志願するようなもので、しかもその枠に収まることで満足感をえている感じもします。アイドル自体はこれでいいかもしれません。しかし、売り上げ、それを資金源にプロモーションを打っていこうとする場合、隔離されたアイドルへの収入というのは限定的になるのは必然的であり、それゆえに「いくら頑張ってもどうすることもできないのはなぜ?」という、メンバーの中で摩擦が起きる原因となり、最終的には「卒業」という形でグループを去っていく人が増えていく大きな原因となります。これは、アイドルの内部のはなしで、では、そこを抜け出し、マーケットはどう見ているのか?

これはですね、アイドルの皆様方、ヲタク以外でもアイドルが好きな人は沢山います。しかしながら、前述の通り、一般のポピュラー音楽のカテゴリーから外れているために、「アイドルが好きです!!」と堂々と言えずにいる隠れファンが多いのが現状です。これを底引き網でごっそりとすくい上げたアイドルが勝利をつかむわけですけど、そうするには方法は一つで、一般のポピュラー音楽のカテゴリーに入っていくしかありません。まずは認知してもらうための第一歩です。その入り方ですけど、アイドルの曲がハードロックやメタルの音楽と共通することが多いからといって、そのコーナーにアイドルのCDを置いたり、配信したりしてもダメです。それよりも、普通のロックバンドが出入りするライブハウスに、それも該当するアイドルグループ以外の対バンの相手は全て普通のロックなどをプレイするミュージシャンで固められているときに、アイドルとしてアイドルの曲と踊りを披露します。これを全国のライブハウスで行っていくことによりアイドルへの視線は変わり、やがてアイドルコーナーにしか置かれないアイドルのCDはロックのコーナーに置かれるようになり、配信では様々なジャンルのカテゴリーから検索ができるようになり、やがては日本のポピュラー音楽にとってなくてはならない存在となるのではなかろうか、という仮説を持っております。

この普通のライブハウスでアイドルの曲をアイドルとして行うことに関しては私のバンドで既に行っておりまして、曲自体もハードロックやメタルを基本とした曲が多いこともあり、普段はアイドルを見ることがなかった人でも、内村が演じるアイドルの歌と踊りが無ければ我々のライブは始まらないとまで言われるようになり、あまりにも内村のアイドルのカバーの人気が出たことにより私たちのミュージシャンとしての立場が危うくなったと感じましたので、何度がアイドルのカバーを止めていたこともあったのですが、そうすると、同じミュージシャン仲間やお客さんから「なぜやらない??」とクレームになり始めたことから今では毎回、ライブの余興的にアイドルのカバーを行うようにしております。カバーでこの状況ですから、本人たちがステージに出てくれば大変な盛り上がりになることは容易に予測できます。

これが一応の成功へのシナリオです。ご注意いただきたいのは、私たちのステージはアイドルのカバーだけではなく、他に漫才や地方ネタのトークをも交えてのステージです。アイドルがアイドルとしてステージに立って成功する確率は上がるだろうと予測はできるものの、歌と踊り以外に何か他に芸がないとすべった時にフォローできないので、この方法で本当にステージに上がるのであれば、その点に注意しながらチャレンジしてください。

この件についてはこれにて結審します。次回はまた別の方法でのやり方を考えてみようと思います。ご高覧、ありがとうございました。
このシリーズも今回で最終回にしたいのですが、今回を含めあと数回やります。このブログも最初は単純にLinQのファンである私がLinQへなにかを届けてみようというのが始まりだったのですが、それがいつしか事業計画書を作成するような気配になってきております。マスコミ関係の方が介入するといつもこうなるから困るのですが、しかし、そこまでいうのならやってみてもいいですが、私はLinQの財務状況を知りませんから、お金を湯水のように使えることを前提に話をすすめます。あらかじご了承ください。

少しだけ基本に立ち返り話を進めますが、日本のポピュラー音楽の業界は基本的に「完熟音楽」志向ですから、新しいことをやると失敗する傾向にあります。この点については私が解説しておりますので、下記リンクよりご参照ください。

完熟音楽論について:

http://ameblo.jp/prof-tanaka/entry-12164234323.h


しかしながら、クリステンセンもいっているように、いくら完璧な戦略を立案したところで成功する確率は極めて低いのが現状です。要は、戦略の次に重要なマーケット、いわゆる「マーケティング」に失敗するとせっかっくの戦略も台無しです。今回のLinQのケースは別に失敗しているわけではありませんが、世界へ羽ばたこうとする理念のわりに、福岡ローカルの域をでないLinQをどうにかして世界レベルにもっていこうという趣旨です。換言すると、戦略の軌道修正を行おうとするものであり、そこに経営学理論を援用し、本稿では教科書に沿った結論を出してみたいと思います。

まず、最終的な戦略の軌道修正を行う上で二つの方法があります。

1.これまで行ってきた理論を用い、固い戦略を決める。

2.何度も言ってますが、失敗する確率の方が高いので、今ある経営資源を有効活用し、やりたいようにやってみる

究極的には上記の二つです。そして本日は1をやってみます。

これまで様々な説明を加え、そして消去法にてLinQに必要なのは「破壊的イノベーション戦略」のそれも、「新市場創造型」だという結論に至っております。要はこれが答えです。しかし、皆様方の知りたいのは、では、具体的にこの戦略を使用して「どうするの?」というところでしょう。いわゆる「戦術」レベルでの話を聞きたいのだと思いますが、私は戦略論としての答えを既に出しておりますので責任は果たしておりますので、ここから先はあくまでも田中誠一ならこうするという、個人的な思いであることを念頭に読んでください。

先ほども書きましたように、予算は無制限という設定ですから考えは広くなるのですが、まず、新市場創造型というものは「それまでになかったものが出現する」状況です。たとえば、これまでアイドルがなかったところへ、アイドルが出現したというようなものですが、アイドル自体は私の両親が若いころから既に存在しておりますので、ここを狙うことはできません。そこで次の一手ですが、簡単です。

アイドルとして通常の音楽市場に参入するだけです。例えば、通常ブッキングでライブハウスに出入りするなどです。

現在のポピュラー音楽業界という枠の中ではアイドルは完全に隔離された状況にあります。ここに普通の顔して参入することにより、通常の音楽市場の中にアイドル枠が新設され、より一般の人々との距離も近くなることから認知度も増え、そこに新しい市場ができてくるのではなかろうか?という理論です。

例えば、通常ブッキングでライブハウスに出演する場合、はっきり申し上げて対バンするバンドにとっては脅威でありますし、破壊的であります。これは私のバンドで実証済みです。

申し訳ございません。本日はこれより飛行機に乗って移動しなければなりません。前述の新市場の詳細に関しては明日に書きますので、お許しください。ご高覧、ありがとうございました。
ところで、大きなタイトルをつけておりますが、破壊的イノベーションの理論通りに戦略を立案したとしても、HBRの2015年12月号のクリステンセン共著の論文によると、ディスクドライブ産業においての成功率はわずか6%にすぎないと報告されておりました。このような状況ですからここで私が戦略を立案したとしても、失敗する確率の方がはるかに高いということを念頭に読んでいただくことをお勧めします。

破壊的イノベーターになるには二つの方法があります。これは前回にも説明しましたが、一つはローエンド市場を狙う、もう一つは新市場を作ることです。これらの理論的な詳細は私が解説しておりますので、下記リンクよりご覧ください。


①ローエンド市場を狙う

http://ameblo.jp/prof-tanaka/entry-12163312111.h

②新市場を作る

http://ameblo.jp/prof-tanaka/entry-12163576193.h


まずはローエンド市場の件から見ていきますが、上記の解説からもお分かりのように、ローエンドとは価格のことで、そして市場への新規参入者という二つの条件を備えていなければなりません。上記の解説では回転寿司店を例に解説しておりますが、寿司は昔から日本にあります。これを価格面で既存の寿司店を排除し、さらに回転寿司店は伝統的な寿司店と同じくらいの品質の寿司を提供するようになり、これが致命傷となり、伝統的な寿司店の市場を奪っていくようになりました。

さて、このローエンド市場を狙う戦略はLinQに適合するかについてですけど、これは明らかに「No」です。まず、アイドル市場に参入してから5年が経過しており、さらにメジャーデビューまでしていることから、「新規参入」ではまとめることができません。以上のことから、この戦略を狙うことはそもそも不可能となります。

この理論を無理やりLinQに当てはめてみると、踊りはそのままに、劇場への入場料や物販でのグッズの価格を今の1/3の価格にしてみましょうということになります。1/3については根拠はないですが、要は、価格を下げて集客しようというものですが、いまさら価格を下げたところでどうにもなりません。例えば、寿司を知らない日本人はほとんどいないわけで、それも伝統的な寿司は「高価格」であることを日本人は教えられることなく知っております。その寿司が安く食べることができるとなると、おのずと需要が伸び食用率も上がります。このように、この戦略は価格が安い分、規模の経済を狙ったものでなければならず、さらに寿司と同様の認知度が備わっていなければなりません。企業は新規参入かもしれませんが、寿司自体は古くからある歴史と認知度のある食べ物です。これらの部分を突いていくのがこの「ローエンド市場を狙う」となります。

破壊的イノベーターになるには簡単なようで難しいですね。また、理論の通り戦略の立論と行動をとったとしても成功率はかなり低いです。さらには組織との関連において、立案した戦略についての認知度や浸透度(これらについては「情報の粘着性」といわれておりますが)も影響してきますので、どのように歯車を合わせていくかが重要となります。残るは「新市場を作る」ですけど、パールジャムはこの戦略です。とりわけブート市場ですけど、それまで「公式ブートレグ市場」は存在しませんでした。ただし、「ブートレグ市場」は存在しておりました。そこに「公式」という冠をつけ、それが「新市場」となりました。どうです皆様方、こう考えるとアメリカンドリームも夢の話ではないような気がしませんか?

今回はこれにて筆をおくことにします。皆様方はこれまでの理論にそって各人各様のLinQについての「破壊的イノベーション」について考えていただければ幸いです。いいアイディアが浮かんだあなたは「破壊的イノベーター」としてふさわしいと思います。あとは自信をもって行動に移し、成功すれば真の「破壊的イノベーター」となれます。ご高覧、ありがとうございました。
最初はLinQの事例研究に始まり、それ以降、フランク永井先生やブルーハーツなど、いろんなことを調べているうちにある一つの命題を突き止めるに至りました。それは、「日本の芸能界で成功するには、慣習的イノベーション戦略だ」というものです。成功した人の全てを調べたわけではありませんが、思いつく人をマトリックスに配置していくと、不思議と慣習的イノベーション戦略に集中することがわかります。これが学会であるならば「世紀の大発見だ!!」となってもおかしくないくらいの大発見だと思うのですが、なんでしょうね、実際のビジネスのために調べておりますので、この結果がものすごく空虚に思えてなりません。むしろ、知らない方がよかったかな?と思ったり、もしこれが学会での話でしたら確実に「田中モデル」になっているものですけど、ビジネスの世界で今回の結果が「田中モデル」となるのであれば、日本の芸能界はこれほどつまらないことはありません。

このような芸能界に一石を投じようと私は国から指令を受けているのですが、そこで私たちは、まあ、いろいろと考えまして「新設計イノベーション戦略」という、日本の在来型の芸能界とは真逆の戦略で市場に出ているのですけど、せっかく現役のアイドルに助言をするように命じられておりますので、LinQには踊りと歌で芸能界に攻撃を仕掛けるのもいいですが、以前に「知的ダンス女子」でいくと決めたわけですから、ここはひとつ「戦略」という部分で他のアイドル達に大きく差をつけていただきたいものです。

そこで前回から言っているのは、破壊的イノベーション戦略ならまだ手を打つことができるのではないか?ということです。技術はそのままですから、あとはビジネスモデルを変えるだけです。しかしここが難しい。ところが、少し考えてみてください。「破壊」です。破壊というのは、言うまでもなく、対象物があるわけです。その対象物を破壊するということです。その破壊の方法には2つありますというのがクリステンセンの主張です。

1:ローエンド市場を狙う。

2:新市場を作る

以上の二つなのですが、これは二つとも元々先陣を切って頑張っている企業の市場を上記の二つの方法の内どちらかで市場を破壊し、破壊した市場を自分たちでもう一度再生し、大儲けするという戦略の方法です。ゲイリーのマトリクスには説明はなされておりませんでしたが、詳細に破壊的イノベーション戦略を見ていくと、Y軸上の「新しいビジネスモデル」の部分は実は二つに分割されており、破壊的イノベーション戦略における新しいビジネスモデルとは上記の二つのうちどちらかを選ぶということになります。ここまではクリステンセンの議論ですが、現実的には上記二つを同時に実現させた事例があります。それがパールジャムのファンクラブである10クラブです。具体的にはブートレグでこれを実現したのですが、私がパールジャムを支援する本当の理由は音楽がいいというのもありますが、クリステンセンの頭の中を超えたビジネスモデルを実現し、さらにそれが大成功しているということにあります。

ということで、「戦略と組織」はもう少し後に回すとして、先に思考の核のみを固めていこうと思います。すみません。なんというか、当初は学会レベルで話を進めており、「田中モデル」の命題が打ち出せたところでそのまま数値的な研究に移し、立証にもっていこうと考えていたのですが、学会での成功を狙うのは、今現在の私にとってそれこそ慣習的イノベーション戦略の道を自ら選択することになり、芸能面での戦略と整合性が取れず空虚に思えましたので、あくまでもビジネスとしてLinQに成功していただくためのものにするため、少し方向性を変えることにしました。

そこで「田中ビジネスモデル」の成功事例をLinQにて作るべく尽力してまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
実は結語を二つ書こうと思っていたのですが、すっかり忘れて結語の最初の半分しか書いていないことに気づき、今回は番外編として書くことにしました。この結語で一番重要である部分、そうです、LinQが今現在どの戦略を選択して、どのような結果となり、その将来展望はなんでしょう?というものをやっていこうと思います。

まず、本編の中で少しだけ触れておりましたが、現在のLinQは「慣習的イノベーション戦略」を選択しております。この慣習的イノベーション戦略はフランク永井先生やブルーハーツの例からすると大成功への切符だと思われがちですが、実はそうではないからくりがあります。

LinQのまず、ビジネスモデル面から見てみますと、これはAKB48のやり方と同じです。劇場に行けば誰でも直接会えることができる普通の女の子集団、とにかくCDを買ってもらい特典をつけ、さらに顧客を魅了するなど、一般的なアイドルのビジネスモデルです。

技術面からみれば、まだ地方にアイドルが根ざしてなく、既に全国制覇していたAKB48と比べると、非常に激しく、かつ、技術を必要とするダンスや歌を披露しておりますが、これはすでにピンクレディーに代表される「アイドル」が行っており、その意味で慣習的イノベーション戦略を選択しているとなります。この慣習的イノベーション戦略は前述のとおり、大成功を収めるための重要な意思決定であるかと思われるかもしれませんが、原文では「ルーティン」と呼ばれておりまして、同じことをひたすら繰り返す戦略の方法です。もっというと、「機械になってください」ということであります。その機械に間違った関数をプログラミングすると、半永久的に間違った解答をだします。これが慣習的イノベーション戦略のもっとも怖い部分です。

LinQの皆様方は九州発、日本全国からの世界へ!という大きな目標をお持ちです。何を隠そう、この私は東京から福岡にやってきて、ブレイクした地はその福岡。そしてもう地方と東京を掛け持ちながら海外でも活躍しております。この違いは何かというと、元々の戦略の違いというのもあるのですが、慣習的イノベーション戦略で歩む場合、「素人でもわかりやすいもの」を永久的に提供し続けることが成功の条件となります。この地球上にいる人のほとんどは芸能に関して素人です。ですから、たくさん売るにはこの素人さんを相手にしないといけません。そこで大切なのは、「わかりやすさ」ということになります。5年たっても福岡ローカルであるLinQの現実を見ると、技術が卓越しすぎて、素人さんにはわかりづらい傾向にあると思います。すごいテクニックを永久的にやり続けるとマーケットの需要をはるかに追い抜いてしまい、逆に売れません。そこで、レベルを落とし、ニーズを探り、そこに合わせ、そしてあとはルーティンとなるのですが、デビューして既に5年、かなりの費用と年月がつぎ込まれた現在において、さらに時間とマーケティングの費用をかけて調整するのは非常に不利であると、通常は考えます。そこで、戦略の変更を行えばどうかというのが、本編で議論したことでありました。

比較的負担が少なく移行できそうなのが「破壊的イノベーション戦略」だと述べました。これはダンスの技術をそのままに、ビジネスモデルを変えるという手法です。音楽業界ではパールジャムの例を参考にしていただきたいのですが、やはりファンクラブのあり方を変えるだけで随分と違ってくると思います。メジャーデビューしているので、縛りが多く、そんなことできるか!!となる場合、思い切ってメジャー契約を切ってしまうのも手です。そうするだけでビジネスモデルは一変します。手売りというのもいいものですよ。メジャーでいるよりも儲かるのでは?と思うくらいです。あくまでもトータルな費用面での話ですが・・・

このあたりで番外編は締めようと思います。いろいろ書きましたが、一番重要なのは戦略というよりも、芸能人であることは何かを常に自問自答することだと思います。ある意味、芸能人は仏の領域に達しないとできない職業だと自分自身が芸能界を体験して思っております。他力本願。これは私が好きな仏教用語です。これは決して「他人に身を任せる」ことではなく、身の回りの人々に自分が生かされているという意味です。自分たちがどのような状況にあってもそれは「生かされている」状態であり、その分、自分自身がしっかりとしないと他力本願は実現しないのです。経営学では差別化戦略、深層心理学では自己実現などで語られる領域ですが、不思議と仏教用語での方が理解しやすいと感じております。

ご高覧、ありがとうございました。