売ることを考える 23 | 芸能の世界とマネジメント

芸能の世界とマネジメント

芸能界、芸能人のために論じます。

A氏による架空の全国展開の話をしておりますが、要は、そう簡単に全国展開など不可能であることを知っていただければそれで結構であります。コツをつかめば全国展開は簡単なのですが、そのコツをつかむまでに多くの人は挫折を味わいます。これを何とか和らげるために私は書き続けているのですが、皆様方のお役に立てているでしょうか?とにかく難解であることは確かです。

 

さてA氏は関西で勝負しようと思いついたのですが、関西は誰しもが知るように「お笑いの街」です。これは私の経験からして余計にそう思うのですが、音楽のライブでも笑いの一つも取ることができないようでは、例えば大阪でのライブのステージに立つことは難しく、ここが東京と大きく異なる部分であります。そしてなぜそんなに異なるのかですが、それは心理学的には不明であります。逆に、解明できたら凄いことであります。私の個人的な意見からすると関西のお笑い文化が解明されることは100%の確率でないと思っております。なぜなら、お笑いが嫌いな関西の人もいるからであります。しかし確かなことは、日常生活とお笑いとが密接になっており、日常生活よりもお笑いの比重の方が重いことです。タイプ論で例えるならば、外向的な人でも内向的な要素を持ち合わせており、外向的な部分の比重が高い場合、その人は外交的と判断されることであります。これと同じと考えるのであれば、人間だれしもお笑いの要素を持ち合わせているが、それが裏に隠れているだけで、関西の人はその傾向の逆であるという仮説が成立します。仮にこれを「関西の原理」としましょう。私はこの仮説でもってすべてを説明できるものではないと思うのですが、関西の人とそれ以外の地域の人ではこのような心理学上の差があり、ここを差別化戦略の軸にすることがより強い関西をつくると思うのですが、いかがでしょうか?

 

話はそれましたが、そういう意味で、私は大阪で生まれ育って本当によかったとしみじみと思っております。なぜなら、この大阪で培った武器は他の地域にて大活躍しており、これが全国へ出ていくことへの強みとなったわけです。しかしよく考えてみてください。数の原理からすると関西の原理は非常に劣勢であります。日本全国でも関西地域だけですから劣勢になるのは当たり前です。しかしこれが武器になるわけですから世の中わかりませんよね。関西でも武器となり、他の地域でも武器となる関西の文化。素晴らしいではありませんか。裁判でもインターネットの世界でも、自身の意見を通じるものにするには多くの同意を求める必要があります。そこには発言する主体と客体との一致が前提となっております。ところが、関西の文化は日本全国の中でも関西唯一とされていながら、これを認める動きとなっております。なぜでしょう?というのが私からの問題提起であります。数の原理からすると全く説明することが不可能であります。むしろ、劣勢ゆえの勝利という非常に矛盾に満ちた議論となり、問題はさらに難しくなります。オンリーワンが強い?果たしてどのような意味でしょうか?

 

ここまで書くとA氏が関西で成功しない理由がよくおわかりかと思います。つまり、関西文化を取得できていないからであります。ここで勘違いしてはならないのは、関西人は誰でも他の地域で受け入れられるのか?についてですか、そうではありません。むしろ数の上で劣勢の文化圏であるがゆえにマイナスに働くことも多々あります。芸能人を日本一送り出しているのは関西の各地域ではなく、福岡県であることからもお分かりのように、劣勢の武器で戦うことは実際には難しく、さらに、関西以外の地域から関西へ入っていくにはそれなりのテクニックが必要となることもご理解いただけるかと思います。ここでもう一つの仮説ですが、関西の文化はプラスにもマイナスにも働くということです。この両面の働きが心理学的であり、また中国哲学的であもり、研究者の研究意欲を高める歴史ある文化だと考えております。

 

今回はA氏の登場がほとんどありませんでしたが、次回以降に登場してもらうことにしましょう。ご高覧、ありがとうございました。