前稿では外向型と内向型の逆説を宿題としました。皆様方、良いアイディアはみつかったでしょうか。人間が二人集まればコンプレックスですから、1億人を超える我が国においては1億人分の大きなコンプレックスの塊であるといえます。皆様方、この複雑に入り組んだ社会に完全に自分を適応させていこうと思いますか?もし思っているのならばそれは無理な話です。それよりも、人間には様々な人間が存在するという認識の中で、自分は自分らしく生きていくというのが正解であるように思うのですが、いかがでしょうか?このような生き方を「個性化」、ないし、「自己実現」といいます。ですから、上述の私の意見をすんなりと受け入れられた人は個性化を意識せずに達成しているといえるでしょう。個性化とは何も難しいことはなく、この程度のものです。しかし、心と体のバランスが崩れている人にとっての個性化は非常に困難でありますから、この点を忘れずに個性化について考え続けていただきたいものです。
ここで前回の宿題への私からの解答ですが、タイプ論によると内向型と外向型は二律背反し、磁石のプラスとマイナスどころの話ではないと全稿では解説しました。これではユング理論として根底からおかしなことになるので、皆様方、不思議ではありませんか?と問いかけたわけです。タイプ論によりますと、人間というのは必ずしも外向型と内向型の両極に位置するわけではなく、外向型の人間には内向型の面も備わっており、逆に内向型人間には外向型の面が備わっております。これゆえに外向型の人間は外向型の人間と仲良くなりやすいという論理が通じるようになります。
ここまで理解できたところで、芸能人の話に話を移していきましょう。これも前稿において日本人のほとんどは内向型であるとの認識を申し上げましたが、これは学会での認識でもあります。しかしながら、芸能人は外向型でなければ難しい職業と申し上げましたが、では、外向型の人間が内向型の人間を取り込むにはどのようにすればよいかという問題がでてきます。しかしながら、これも存外簡単です。要するに、内向型の人間のことをよく理解し、できれば内向型の人間に接近すればよいだけのことです。幸いなことに外向型の人間は客体に依存する傾向が非常に高いため、内向型の人間に接近することは簡単であるはずです。この性質を利用すると簡単に内向型の人間を取り込めるはずです。逆に内向型の人が内向型の人を取り込むには難点がありまして、内向型の人間は非常に主観的であり、個人の世界に入り込む傾向が非常に強く、これが個人の殻を強化する傾向にありますので、実のところ、内向型同士が集まったとしてもまとまりを生みにくのが現実です。しかしながら、内向型の人間には外向型の一面があり、ようするに、無意識のレベルであこがれを持っている状態であり、ここに日本では少数派の外向型の人間を投入すると、一気に彼らを引き付けることが可能となります。
但し、このテクニックを使用できるのは内向型の人間に精通した外向型の人間のみであり、内向型の人はこの手段を使えません。内向型の人間が内向型の人間を集積させる方法はまた別にありますので、この件はまたの機会に行うことにします。ご高覧、ありがとうございました。