地域創生理論の応用(LinQの北海道編 2) | 芸能の世界とマネジメント

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前回は北海道と福岡の地域性とそこに住む人々の心の問題へ接近いたしました。これは接近しただけの話でありまして、詳細ではありません。詳細については人権の問題がありますので、情報の開示ができません。ご了承いただきますよう、お願いします。そして今回は何をやるかといいますと、具体的な戦術についてです。戦略と戦術とを区分して話をしておりますが、実際のところこれらを区分することはあまり意味のないことですが、戦略を中・長期的な図面、戦術を短期的、ないし実行レベルでの図面とさせていただきまして、話を進めていこうと思います。

 

前回におきまして北海道は「メタル(クラスター)」であり、それ故に九州の人とはマッチングしやすいであろうという命題を与えました。これを完全ではないにしても、妻の宗子を事例とし、解説を行いました。しかしながら、九州の人が北海道へ来ればすべての人がステージ上で成功するわけではなく、やはりある程度芸能の訓練をした人でなければ認めてもらえません。しかし、少し訓練すれば北海道にて成功を収めることができるであろうと思われます。逆に、北海道の芸能人が九州地区で成功しやすいともいえ、この相互の作用があれば面白いことになるであろうと思われる反面、地理的なこともあり、実現は困難を極めます。福岡から新千歳まで飛行機で2時間、航空運賃やホテルの価格も安くなり、国内旅行の質も格段に上がったとはいえ、「距離」という考え方は人の心の中に大きな壁を作っておりまして、ここが地域創生の実行を難しくする大きな要因の一つであるといえます。

 

話を戻しまして、では、福岡からLinQが北海道にて具体的にどのように活動すればよいのかという問題なのですが、まず、メタルで連想するものは何かを考えてみましょう。この作業が大事でありまして、実は、私のような学者が考えるよりも、各種の芸術家、小説家や演出家が考えたほうがよほどマーケティングを忠実にとらえるのですが、ここはひとつ、私の乏しい考えの中でお付き合いいただくことをお許し願いたいです。

 

まず、メタルといえば「ゴシック」でしょう。いわゆる「ゴス」ですが、これはいろいろな解釈がありますが、肉の部分を取り除いて骨の部分だけにしてみますと、要するに、概念的に一言で表現すると、「白黒はっきり」となるかと思われます。何事も明白であり、理解しやすい状態を示すものであるかと思われます。ここから逆に肉付けを行いますと、例えば、食べ物であれば、「辛い、甘いをはっきりさせる」とか、お酒などでは「濃厚」であるとか、「淡泊」など、「はっきり」したものが好まれるということになるでしょう。また、服や靴なども実用的なものか、ファッションを重視したものというように、どれか一つの機能に特化したものが好まれると思われます。ファッションと実用性の両機能を備えたような靴や服を購入する人もあるかと思いますが、主流にはなれないと仮定することができます。ここからさらに突き詰めると、「北海道の人はその人の特徴がくっきりと出ている人を好む傾向にある」と仮定することができます。ここで一つ、ステージ上でのキャラ設定ができまして、それは何かというと、「方言を使いまくる」という手法であります。ゴス文化の地域においては「地方性」がそのまま武器となります。その地方性を端的に表現できるものは「方言」であるかと思われます。これは私のバンドで実際に実行していることですが、これは関西弁が北海道でウケているわけではなく、強い地方性が受け入れられている状況でありますから、博多弁をステージ上で放たれた場合いを考えると、会場は熱気に包まれるであろうと思われます。

 

ここで問題となるのはステージ上でのパフォーマンスをどうするかですが、地方性という面からすると「九州の踊りや音楽とは何か?」という問題が出てくるかと思います。しかしながら、私たちの例を思い出していただきたいのですが、私たちは地域が変わっても演目は変えません。ここで着目すべきは「白黒はっきり」でありまして、これを例えばギターでいえば、やはりメタルなどに代表される、とんでもない速弾きをするなどのスーパープレイが好まれます。曲芸に近いものが受け入れられやすいのが特徴です。これが白の部分であるとすれば、黒の部分はどうなるかというと、ずば抜けて「ヘタ」な状況です。実はこれも北海道では受け入れられます。かつて私はノーマルチューニングの曲をドロップDにて弾き続け、大失敗したことがあるのですが、それでも北海道の人は受け入れてくれました。またある時に、泥酔に近い状態でステージに上げられたことがあるのですが、当然、演奏は無茶苦茶で、MCもボロボロで、ステージとしては全く成り立っていないにも関わらず、客席は大ウケしているという現象がありました。これは北海道の人々の懐が広いというのもありますが、成功している状態や失敗している状態が「はっきり」している状態がウケているわけでありまして、同じ失敗でも中途半端な失敗では受け入れてもらえないことを意味します。

 

さてここで具体的にLinQがステージに立つときにどうすればよいのかについて、具体的な方法論ですが、「方言を駆使し、ダンスは極端なほど大胆に踊る」ということになるでしょう。そして、失敗しそうなときは思いっきり失敗させることも重要です。このように、失敗も芸のうちです。失敗をも芸に変えてしまうテクニックを身に着けることにより、「パーフェクト」という状況が出来上がります。その意味で、北海道や九州地区は芸能のテクニックを身に着ける、ないしは磨くためには非常に優れた地域でありまして、沖縄県も芸については非常に厳しい地域でありますので、これら3地域で鍛えられた芸は、是非とも海外を含めた全世界で試していただきたいものであります。

 

ご高覧、ありがとうございました。