心の磁力の活用(具体策 13 ペルソナと自我を活かす 2) | 芸能の世界とマネジメント

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LinQが解体ということで、これは大変なことになっておりますが、現状を突破するのはLinQそのものですからご自分たちで頑張ってもらうとして、しかし、今後の活動にあたり私の理論が何らかの参考になればと思っております。このようないい方をするとものすごく冷たいと思われるかもしれませんが、これが実は心理学の世界でありまして、あくまでも主体が自主的に考え、行動することを治療者が導くにとどまることが前提であるがゆえに、何か事が起こるとその主体はつらい思いが倍増し、地獄を体験するのですが、それも人生です。

 

さて、このような私も大学と経営学会を一時追放されてから長期間にわたりいわゆる、「退行期」を経験しておりまして、ハーバード大学にてドクターをとってからもしばらくの間は日本にて学問をすることは許可されず辛い時期を経験しました。おそらく周りの人間もかなり心配したと思います。私の行動を見て、しかし、商売としてのシステムは構築しておりましたから生活はできましたけど、田中は大丈夫か?と思った関係者がたくさんいたから現在があるわけです。ですから、今はおそらくLinQとして何もできることはないかと思いますが、それは創造的過程の一部分ですから、活動はそのままに、時期が来るのを待つように心がけましょう。

 

私の経験からすると、私はやはり基本的には学者ですから、どんな時でも学者としての態度は貫いてきました。雇用してもらう研究機関がなかった時代は無所属の研究者として生のデータを採取し、その分析と理論の構築をすることに日夜努力しました。それが認められるまで8年かかりましたから退行期は8年にもおよび、この期間は活動はしていましたけど、学者として空白の期間であったことは事実であります。しかし、この8年があったが故に今の身分があることを考えると、非常に貴重な空白期間であったと考えるべきではないでしょうか。ここで皆様方にお伝えしたいのは、なぜ8年間も空白期間を継続できたかということです。それはなにより「ペルソナ」というものがあったからです。ペルソナは言うまでもなく「仮面」のことですが、この仮面をつけることによって人間として生きていくことが必要であることの一面を示しております。というのも、もし「学者という仮面」が自分自身に備わっていなければ、そもそも研究者の道から離脱していたと思います。例え偽の学者であったとしてもその仮面をつけることにより、ある種の「ファンタジー」の世界に入っていくことにより研究活動を継続させることができました。ですから、ある意味ではこのような辛い時期においては無意識に身を任せることも、一つの創造的過程においては必要であると考えております。

 

ただし、気を付けなければならないのは、永遠に学者になれない場合はどうなるの?ということです。私は幸いなことに日本政府が拾ってくれましたから、その意味で真の学者になりたいという「自我欲求」とファンタジーの世界での学者の世界が見事に統合され、その結果、いわゆる自己実現したわけですが、そうならない場合、これは自我の崩壊ということになり、何か別の道を探すほかありません。ではそうならないためにはどうすればいいのか?これは大変な問題でありますが、答えは一つでありまして、それは思いを強く持つことであります。個性化の過程にあるLinQの皆様方の今現在の思いは、相当意識化され、マイナスの要因に満ちていると思われます。ここで大切にしたいのは私の例で示した「無意識」、それもペルソナではないでしょうか。今現在の自我は「解体」の文字で埋め尽くされています。しかし、無意識のレベルではそのようなことはなく、何か事を起こしたいはずです。なぜそう言い切れるのか?一つ考えていただきたいのが、無意識のレベルで何もやりたくないのであれば、少なくとも意識と無意識とは統合され、「解体」に関して受け入れられるはずです。しかしながら、現実には「事務所に残りたい」とする心理が働いているわけでありまして、二律背反するその思いは何かというと、「無意識からの問いかけ」であります。

 

その無意識からの問いかけの具体像はやはり、アイドルというペルソナではないでしょうか。その無意識との問いかけに自我として素直に応じ、努力していくのか否かについてはご本人次第となります。ゆえに、第三者の介入を許さず、苦しさは倍増します。しかし、その先にあるかすかな光を追い求めていくのも芸能界の醍醐味であると思っております。

 

人それぞれにいろんな意見があるでしょうけど、苦境の今こそペルソナを活用してのスマートな活動を期待します。ご高覧、ありがとうございました。