私が彫金を習っていることは、このブログでも触れました。
8年近く、ニューヨークで彫金をやっていたのに、なぜ、まだ学ぶことがあるのか。
…そこには奥深い「プロ」に対する考え方の日米の違いがあるのです。

突然スケールの大きな文化論のようですが、面白いのでかきますね。

日本では彫金学校に入ると、まずさせられる(いや、経験させて頂く)のは、「道具を作ること」です。えっ、道具を作るために入学したんじゃないのに。アクセサリーを作りたいのに、どうして道具なの?!…と不思議に思いますが、これは日本では当然のこと。
「すごくよく使う工具なので、作っておけばこれからずっと、プロになっても使い続けられる工具なので、自分で作るんですよ。使いやすいように、後からアレンジもできます」

というのがその答(「よく使う工具なら、売ってくれればいいのになぁ…」とは思っても言えない雰囲気)。

アメリカだと初日にリストを渡され「これが買った方がいい工具リストです~!◎◎通りにある、××というお店で買ってきて下さい」と言われます。
授業が始まると同時に、みなさん、ダラダラと工具ショッピングに出かけます。ポテトチップスをポリポリ食べながら、戻ってくる人もいます。何も言わずに戻らない人もいます(汗)。

そして、作品づくり。
成形するところは同じですが、アメリカでは成形までしたら、あとは「それぞれのプロ」に任せます。
つまり、鋳造してシルバーで作品が出来上がってきたところで、
1、日本では自分で磨く(アメリカでは「磨き屋」に出しに行く)。
2、日本では自分で型をとる(アメリカでは「型とり屋さん」に出しに行く)。
3、日本では自分で石を留める(アメリカでは「石留め屋」に出しに行く)。

もちろん、これは「一般的に」という意味で、日本でも「○○屋さん」に出しに行くこともできますし、アメリカでも自分でやりたければ、やってもいいのです。でも、これが基本スタイルです。
アメリカは、デザインや成形をしたくて教室に通っているのに、磨いたり石を留めたりと、時間のかかる工程をわざわざやる必要がない…と合理的に考えますが、日本では「最初から最後の工程までを、自分の腕でやれてこそ、プロ」という考え方です。

料理人が、包丁も自分で研ぐのか、研ぐことは研ぐプロに任せて自分は料理に徹するのか…みたいな違いでしょうか。

どちらも、それなりに筋が通っています。
…が、これまで○○屋さんに頼っていた私には、その部分の工程を自分でやるのが、結構な試練です。
今日の作業は、指が筋肉痛になりました。私の左手の親指くん、お疲れさま!君はよくがんばった!

そういう意味では、銀粘土はお手軽ですね。
なぜなら、無理なく最初から最後までの工程を、自分でできるから。

うん。それはいい!