もうとにかく鹿賀丈史さんの座長芝居。
多彩な人物達の中心にドッシリおられて、立居姿が惚れ惚れするほどサマになってて、セリフも歌も味があって、おひねりポイポイ。
初演はブレスが苦しそうで歌が残念でしたのに、今回はOKで、鹿賀節健在。
これこれ、これですよ!
●人間的魅力にあふれ、皆に頼られ、詩才もあるシラノ。
でも、そんな彼でも自由にならないのが、ロクサーヌの心という、もどかしさ。
辛いですよね、惚れた女が他の男に夢中になり、結果的に、自分の気持ちをないがしろにするのは。
そこがバルジャンの心境と重なるというのは、今朝ツイートした通りですが、シラノは一途な恋心をひそかに貫きます。
男の美学。心意気。
そして真実が伝わり、やっと報われるが、その時シラノは…という最後の場面は、胸に深く迫ってきます。
ここまで1人の女性を深く愛せるんだという感銘や。
貫いた思いが、やっと報われるという感動や。
でも、その時には…という哀れさや。最後に見栄を切る心意気のカッコよさや。
●それにしても、人心を掌握するのは難しいですね(←しみじみ)。
人望は、一朝一夕で身につくものじゃないし、どんなにがんばったって無理ということもある。
多くのスタッフに慕われ、「この人のためになら死ねる」と思ってもらうには、どーしたらいいのよ?
ドギッシュだって、ロクサーヌに愛されたいし、自分の意のままに動く部下も欲しい。
なのに、どっちも自分の思い通りにいかない。
意を決して訪れたその晩、彼女が他の男と結婚したと聞かされるし(そりゃショックだ)、
部下(指揮下の兵士)もあからさまに自分のことを馬鹿にしてる。
ドギッシュが命じた事に従おうとする者がいないので顔は潰れ、結局が、立場を利用した「力」で強制するしかなくなる。
これで従わざるをえなくなるだろうと思うのに、そうもいかず裏目に出て、かえって皆の心は離れてしまう。
でも皆、シラノ(自分よりも遥かに下)の言う事には忠実に従う。
こりゃ悔しいですよね。
ドギッシュにとっては理不尽ですよね。なんで俺はこうも報われないのか????
うーん、ドギッシュ、他人とは思えないぞw