瑞穂の国暫く航空会社に勤務した。海外駐在の折、自社機で帰国することがちょいちょいあった。もうすぐ着くよとコウパイから声がかかり、コックピットに駆け寄ると、前方霞に包まれた塊が見えた。他の国と相違して、みずほの国は大地が直接見えない。先ず霞みというか、朦朧とした雲海が見えはずだ。何と美味(うま)し国かと思った。この霞をめがけて、神々はお降りになったのか。