海外に住んでいると、思いがけず自分が愛国心を持っていることに驚かされる。わが国についての否定的な発言を聞くと、自然に嫌な心持がする感情をしばしば抑えられない。ところで、実はわれわれが出会う外国人男性は、ほぼ全員間違いなく実は軍歴があるか、軍人であることに改めて気づかされる。男性で、今軍務が無い民族は世界中で日本人だけである。国家非常時には、海外の男性であれば間違いなく軍務に着くと言うことが要請されている。日本人は、憲法に規定された三大義務だけを守ればいいことになっているが、その内容を最初に聞かされた時、納税義務が挙げられているのを知って何となく極まりが悪い心持がした。

 そこで男女平等であるが、外国では男子はいざとなれば軍人たることを前提にして、その上で男女は平等であるとうたわれているのである。これは、わが国における男性の置かれている状況とは少しく異なっていると言わなければならない。外国の男性であれば、国際社会は相変わらず、というかますますむき出しのパワーの荒野、リバイアサンの世界であることを念頭に置いているだろう。

 昨今、わが国の男性の地位の低下は目を覆うものがある。不倫問題にせよ、ハラスメントにせよ、その根底にわが国の男子に対する軽侮の念、単なる種馬でしかないと言う観念が仄かに見えるような気がするのであるが、これが勘違いであれば幸いである。これは野党の男性政治家を大方のわが国大衆が軽んずる感情、つまり口先だけとの考えにも通底しているのではないか。この侮蔑の念がよってきたる淵源は、結局はわが国の男子は、国難に立ち上がることが見えて来ないと言う不自然さに由来しているような気がするのである。