ところで、昨今非医業類似行為と言う用語が用いられている。これは正しくは、非医業・非医業類似行為というべきなのであろう。その意味するところが何であるのか判然しない。厚生労働省は、あはき柔整の広告制限に関するガイドライン作成のための検討会を定期的に開催しており、20191114日、いわゆる無資格者による行為を「非医業類似行為」と定義づける発言がなされた。この内容が、元来医業行為でないものであって、かつ資格を有することで与えられる非医業類似行為を排除したものであるとすれば、恐らくは厚生労働省が排除したいとして想定するカイロプラクティック、整体等医業行為に似せた雑技を指すこととなるだろう。

今後の、厚生労働省の活動を注視すべきであろうが、それとともにわれわれも襟を正していき、一部整骨院に見られる無軌道な広告宣伝あるいはいわゆるマツサージあるいはあん摩に似せた施術行為を厳しく排除しなければならないだろう。あのような施術は、そもそもあん摩・マツサージ師の資格を持っていなければできないものではないだろうか。

 ただ、整骨院に行く患者は急性期ということはほぼありえず、だいたいは整形外科に通ったが思わしくない時に訪れる、亜急性気乃至慢性期の患者であることもまた事実であって、実態に即した施術およびそれを踏まえた報酬制度が許されるべきであろう。すなわち、慢性期に達した患者に2部位、3部位で済むわけはないのであって、そこにあん摩あるいはマツサージに類似する施術行為が潜むわけである。

 今日の医業類似行為あるいは非医業類似港にの概念の混乱は、厚生労働省も含めて生じており、われわれは注視してみていかなければならない。