人生を送っていると、しばしば人生を横切る人物あるいは、人の人生を横切ってしまう瞬間に出くわすものだ。横切ることで、その人の人生の行路が変わるものである。運命的な女性との出会い、一生を決定した人物との遭遇。これは人生の妙味であろう。が、ここで言いたいのは、別の話である。街に出て歩いていると、しばしば行く先を遮って横切る無礼に遭遇する。それもごく鼻先を横切られるので危なくてしかたがない。若い頃は、人の歩く先を横切ろうと思う時、つまり行く手をさえぎって、反対側に行こうと思う時は、横を歩く人をやり過ごして、その人の後ろを横切ったものである。最近は遠慮会釈無く、人の歩く鼻先を押さえるように我先に反対側に進路変更する。どうかすると、けつまずきそうになる。危ない。なぜ、一瞬を待てないのだろうかと思うのだ。