Notes on a Scandal
イギリスのごく普通の学校。
定年間近の老教師バーバラ(ジュディ・デンチ)。猫とひっそり暮らす厳格で狡賢いニヒルな彼女の前に現れたのは、繊細で美しい新教師シバ(ケイト・ブランシェット)。年上の夫と二人の子供がいる。
物語はバーバラの日記風に語られる。自分以外の人間を辛辣に極評しながら。
シバが収拾できなくなった生徒の喧嘩を、バーバラが助けて収めてしまったことから二人は「友人」になる。しかし観客は、バーバラが差し足忍び足でシバに付け入ることを知っている。そしてシバが生徒の一人と関係を持っていることを発見。ここからバーバラは更にシバへの執着心を強めていく・・・
ジュディ・デンチの演技が光る。怖いのなんのって。ホントにこんなのがいそうである。対するケイト・ブランシェットもなかなか。繊細さを表現させたらぴか一。その脇を「ラヴ・アクチュアリー」のビル・ナイ(シバの年上夫役)とアンドリュー・シンプソン(シバの逢引の生徒役)の二人男優がしっかり固める。特にシンプソン君は「目」で訴える演技派。こんな子いたら、そりゃぁちょっと「クラッ」ってくるわ、と思わせる。これからが楽しみだ。
女VS女。バーバラの独りよがりゲーム、同性愛者的オブセッション。
う~ん。地味であるだけに普通にありそうで、背中がちょっとゾーっとする、緻密に構成されたすばらしいサスペンス。
Linea Blu 独断評価:☆☆☆☆☆
BLOOD DIAMOND
久々のアフリカ物です。
メイン舞台は「シエラレオネ共和国」。ヨーロッパに来ていなければ「何じゃぁ、国の名前?」っという感じで、聞いたことも無かっただろう、そんなアフリカの一国。時代は実際に紛争のあった1990年代。
*宝石密輸で捕まった、ジンバブエ生まれの元傭兵アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)
*反政府軍によって家族と引き離され、ダイアモンド鉱山で強制労働させられている元漁師ソロモン(ジャイモン・フンスー)
*シエラレオネの悲惨さを世界に知ってもらおうとがんばる米国人ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)
この3人がソロモンが見つけて隠した大きな「ピンクのダイアモンド」をめぐり、様々な組織を巻き込みながら話は展開する。その物語は、まさしく血塗られた「紛争ダイアモンド」だ。
話の内容はダイアモンド業界が卒倒するようなインパクトだし、モザンビークで撮影されたアフリカの風景もなかなか力強かった。が、「ラスト・サムライ」のズウィック監督、ディカプリオを汚くできなかったようだ。反乱軍が民間人を殺戮する場面なども、いまひとつ重たさが足りない。
「ホテル・ルワンダ」は残虐さが腹の底から伝わってきた。「コンスタント・ガーデナー(ナイロビの蜂)」はその芸術的な画像と時間軸の入れ替えと残虐性で、見終わった後頭を殴られたようなショックだった。でも、今回はなんだかショックがあまり無かった。残念。
それでもなんとなく「あー、ダイアモンドを持っていなくてよかった・・・」みたいな、「嫌ダイアモンド」な気持ちにさせられたのは事実だ。
余談だが、外務省の各国・地域情勢の「シエラレオネ共和国
」を見ると、主要貿易品の筆頭はダイアモンドを含む「鉱物」、主要貿易輸出国の筆頭は「ベルギー」。まぁアントワープがありますから、わからないことも無いけど、少し驚き。
また、ベルギー国王「レオポルド2世」がコンゴ自由国(現コンゴ民主共和国)で搾取の折に、ゴムの採取のノルマが達成できないと植民人の手を切った、と言う逸話も映画中2回ほど出てくる。
自身ベルギーに住んでいるから気づくわけだが、なんとなく複雑な気持ちになる。でもこういう事実を直視している(と思う)ベルギー人はちょっとすごい。日本人はどうだろうか?
日本公開は4月7日のようです。
Linea Blu 独断評価:☆☆☆