鎌倉香房メモリーズ | リンデンバウムのブログ

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小さな香房からお香の魅力を伝えていきます。日本に生れたことに感謝!

ついつい目を酷使してしまうことが多く、小説類を殆ど読まなくなった私ですが、最近とてもはまってしまった小説があります。

 

講談社オレンジ文庫の「鎌倉香房メモリーズ」シリーズ。

著者は阿部暁子さんです。

 

全部で5巻あるのですが、読みやすいので、数日で読破しました。

 

鎌倉の架空の香鋪を舞台に繰り広げられる、人の身体が放つ香りでその人の感情が分かってしまう女子高生の香乃ちゃんと心に深い傷を抱えた和風美男子の大学生雪弥君との古風な恋物語が中心なのですが、お香の香りが匂い出るような背景と個性豊かな人々、鎌倉の風景や風物詩が丁寧に描かれており妙に感動してしまいました。

 

孫のような香乃ちゃんと雪弥くんにすっかり感情移入してしまったのも、二人が心を寄せ合っていく様子が遠い昔の心の原風景を思い出させてくれたからかもしれません。

 

香乃ちゃんは語りかけます。

 

「うれしい時や、楽しい時や、誰かを好きだと思っている時、人って、とてもいい香りがするの。神様がつくった花があったらこんなふうなのかなって、そう思うような香り」

 

本当にそうなのかもしれない、と思います。

 

それなりにドロドロした人間模様も描かれているのですが、読み終わったあと私は1片の香木を聞いたような清々しさを感じました霧

 

げみさんの装画も素敵です合格

 

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