18歳で東京に出た。

 

就職で東京に出てきた。

 

 

以来、

 

実家には帰らなかった。

 

 

「長男」だ。

 

しかし、「長男」の役割を、全て放棄した。

 

 

「家」は、それなりの家だ。

 

 

豪農。庄屋。・・・・その末裔だ。

 

地元では、それなりの家柄ということになる。

 

 

本家。分家・・・・数々の分家があり、その中心に据わる「家」ということになる。

 

 

行事が多い。

 

役割が多い。

 

 

何かれとなく、親族間の行事、役割、しきたりがある。

 

 

一切を放棄した。

 

 

全ては、

 

 

「父を嫌悪」したところからだ。

 

 

ボクの人生の「負」の部分。

 

 

その全てが、父に起因し、「家」に起因していると思っていたからだ。

 

 

18歳で東京に出た。

 

 

実は、

 

15歳で家を出ていた。

 

 

「家」との折り合いが悪い。

 

 

そこから、高校生で家を出た。

 

一人暮らしを始めた。

 

もちろん、家を出たのは自分の勝手だ。

 

だから、家賃は自分で払った。・・・・そこから高校に通った。

 

 

・・・・考えてみれば・・・

 

高校で一人暮らしを始めなければ、

 

 

「あの女の人」

 

 

出会うこともなかった。

 

・・・そう、ボクをSEXで玩具とした女の人だ。

 

 

あの人との出会いがなければ、

 

 

「崩壊の街」・・・あの物語はなかったんじゃないかと思う・・・

 

人生ってのは、

 

摩訶不思議なものだ。

 

 

・・・・そして、

 

全ては繋がっている。

 

 

良くも悪くも、

 

過去の延長線上に「今」がある。

 

「今」の人生がある。

 

 

 

・・・なので・・・

 

 

ボクは、

たった15年しか、親と生活していないことになる。

 

 

 

そして、

 

18歳で、完全に縁を切った。

 

 

「長男」

 

その役割を、完全に捨て去った。放棄した。

 

 

以来、

 

地元のこと、

 

「家」のことについては、ボクは知らない。

 

 

 

・・・・ずいぶん長く東京に居る。

 

 

すでに、

 

ボクは、「東京の人」だ。

 

 

東京での友達。知り合い。

 

今となっては、

 

ボクを「田舎の出身」とわかる人はいない。

 

 

喋る言葉は、完全に「東京言葉」だ。

 

 

標準語ではない。

 

 

「江戸弁」・・・いってみれば、東京の方言って言葉にすらなっている。

 

 

時折、

 

たまに実家に帰っても、

 

すでに身の置所がない。

 

 

すでに、

 

 

「東京の人」

 

「都会の人」

 

「異邦人」

 

 

寂しくはないけれど、・・・・自分が望んだことではあるけれど・・・

 

結局、

 

 

「根なし草」の人生を送ってしまったなぁ・・・・

 

そんな風に思う。

 

感慨。

 

後悔。

 

そんなものはない。

 

ただ、

 

 

「風の人」

 

 

そうやって生きてしまった。

 

それだけのことだ。

 

 

 

時間が経てば、経つほど、

 

田舎は時間が止まっていると感じる。

 

 

まるで、異空間。

 

異次元。

 

 

違う時間の流れの中で存在している・・・そう感じる。

 

ウクライナの戦争も、

 

イスラエルの諍いも、

 

 

アメリカの大統領のことも・・・・

 

 

全ては、

 

遠い宇宙の彼方の出来事だ。

 

 

 

・・・・そこに、ボクの母たちは生きている。弟は生きている。

 

 

弟は、

 

すでに「当主」としての役割を担っている。

 

 

 

15歳で家を出た。

 

母には、

 

弟には、

 

・・・・そして、父。

 

 

ボクの知らない家族の物語があるんだった。

 

 

 

テラーノベル。

 

 

「父を愛した」父を憎んだ。

 

 

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