学校に行きたいと思った。

 

 

あれだけ学校嫌いだったのに・笑。

 

高校は不登校気味・・・・サボりまくってたのにな。

 

 

 

「ビジネススクールに行きたいと思った」

 

 

 

ボクが働いているのは上場ゼネコンだ。・・・・で、本社だ。設計部門だ。

 

 

本来「高卒」社員が籍を置けるって部門じゃない。

 

 

 

・・・・そもそも、会社は、ボクの「籍」を置くつもりはなく、

「依願退職」させるための、一時しのぎで本社に呼びつけただけだったらしい・笑。

 

 

 

そこから、

 

 

 

「ひょんなこと」

 

 

 

このブログのテーマとしている、

 

 

「不思議な出来事」の連続で、

 

 

本社、設計部門に身を置くことになった。

 

 

設計部門に「高卒」社員はいない。

 

 

・・・・ってか、

 

本社には、

 

ほっとんど高卒ってのがいなかった。

 

 

 

 

で、

 

 

仕事にも慣れてきた。

 

 

 

「無我夢中」って時期が過ぎていった。

 

 

 

・・・・ら、

 

 

 

「わからないことだらけ」

 

 

 

って状態に、

 

 

あらためて気づいた・笑。

 

 

 

上司、先輩、

 

 

そんな方々の会話に出てくる「専門用語」ってのが、わからなかった。

 

 

 

特にわからなかったのが「経済用語」だ。

 

 

 

建築専門用語。

 

 

 

こいつは、

 

 

一応、ボクも、高校とはいえ、「建築科」を出ている。

 

 

初めて聞く言葉が出てきたとしても、

 

 

その言葉から、なんとなーーーくの意味は理解できた。

 

 

んで、調べる術もあった。

 

 

 

・・・・・あそこを調べればわかるだろうな・・・・

 

 

 

「引き出し」ってやつだな。

 

 

それの見当がついた。

 

 

 

とっころが、

 

 

 

「経済用語」は、まったくわからなかった。

 

 

ボクの、

 

人生の「引き出し」には、全くなかったって言葉のオンパレードだった。

 

 

・・・・で、調べる術もない。・・・・インターネットはまだないって時代だ。

 

 

 

 

・・・・で、

 

 

コイツが、意外と多い。

 

 

建築ってのは、

 

 

意外と「経済」ってのと絡んでくる

 

 

 

大きな意味でいけば、

 

 

「経済環境」ってのに、動向が左右される。

 

 

 

景気が良くなれば、

 

やっぱ、建物ってのはできてくるし、

 

 

・・・・その「景気」ってのは、

 

 

日本の「景気」ってのも、

 

世界の景気と連動している。

 

 

 

・・・・あとは、

 

 

経済 = ビジネス

 

 

それによっても動向が変わってくる。

 

 

 

新たなビジネスが伸びてきて・・・・それの関連の建物ができてくる・・・・

 

・・・・それ向けの工場、ビルが建ってくる。

ってなことが起こる。

 

 

 

今、世界で「半導体争奪戦」が行われている。

 

 

で、

 

日本では、九州熊本に誘致が決まった。

 

そうすると、半導体工場だけじゃなく、

その周辺産業、関連工場も急激に建てられたりする。

 

 

 

こんな感じで、

 

経済と建築ってのは密接に連動している。

 

 

 

 

・・・・あとは、

 

 

ビル、プラントを建てていくときの「費用対効果」

 

 

例えば、

 

 

テナントビルを建てるとすれば、

 

 

ただ、単純に、コスト積み上げ式に建物を造るわけじゃなく、

 

 

想定家賃との兼ね合いで、建築コストを弾かなければならない。・・・・これも「経済」だ。

 

 

こういった話になれば、

 

社内で「経済用語」が飛び交う。

 

 

ふつーーーの会話として飛び交う。

 

 

 

けど、

 

ボクには、

 

 

まったく、チンプンカンプンだった。

 

 

先輩たちの会話の中。

 

ボクだけが「ポカーーーン」としてる時がある。

 

 

捕まった宇宙人みたいに、

 

ポッカーーーーンとしてる。

 

んで、

 

ただ、ヘラヘラしてるしかない・笑。

 

 

・・・・こいつは、けっこー恥ずかしい。

 

疎外感を感じたりもするしな。

 

 

 

さらには、

 

 

桐原先輩に、

 

 

 

「日経新聞を読め」

 

 

 

そう言われて、

 

日経新聞をとっていた。

 

んで、毎日毎日、目を通した。

 

 

 

やっぱ、興味は湧いてくる。

 

・・・・ってか、

 

 

経済用語の「断片」はわかるようになっていた。

 

 

しかし、

 

 

そーーーすっと、

 

 

「痒いところに手が届かない」

 

 

んな状態になってきた。

 

 

 

・・・・どーやら、

 

掛け算、割り算の話をしてるのはわかる・・・・

 

 

しかし、

 

ボクには、

 

その大元、原点、

 

 

足し算、引き算がわかっていない。

 

 

そーすると話が難しすぎるんだった。

 

 

 

こりゃ、

 

基礎の基礎から、ちゃんと勉強しないとダメだ。

 

 

基礎の基礎から、

 

ちゃんと「勉強したい」

 

 

そう思うようになっていった。

 

 

「芦原会館」

 

 

空手を習うことで、

 

 

「習う」ということへの精神的ハードルが下がったこともあるんだろう。・・・・何か、「内向き」だった身体が、外へ啓いていく・・・そんな感じがあった。

 

 

人生の、

 

「新たな幕開け」

 

そんな空気も感じていた。

 

 

 

昼休み。

 

 

社員食堂で昼食。

 

 

今日は桐原先輩と一緒だった。

 

 

ずーーーっと、ふたりで図面の最終確認作業をやっていた。

 

 

「キリがいいところまで」

 

 

ってやってるうちに、1時近くになってしまった。

 

 

ってことで、ふたりで昼飯にやってきた。

 

 

1時近いので、ピークも過ぎてる。

 

人影まばら。

 

 

4人掛けテーブルにふたりで座る。

 

 

で、

 

 

「特別定食」・・・・・通称「特定」を、

 

 

当然のように奢ってもらう・笑。

 

 

 

社食メニューは、

 

 

「A定食」

 

「B定食」

 

 

他に、ラーメン、ソバ・・・とかの麺類があって、

 

 

その上に、

 

 

 

「特別定食」ってのがあった。

 

 

値段が2ランク・・・・一番安い「A定食」の倍ってな値段だった。

 

 

 

もちろん、定食メニューは日替わりだ。

 

 

 

今日の「特定」は、

 

 

豚カツ定食だった。・・・・ほぼ「揚げたて」を提供してくれる人気メニューだ。

 

 

桐原先輩は、

 

 

「天ザル」だ。・・・・これもたっかいメニューだ。

 

 

 

ボクは、桐原先輩を尊敬していた・・・・ってか、「心酔」してるっていっていい。

 

 

とにかく、「カッコよかった」

 

 

アメリカ留学のなせる業か、

 

着ているものから、

 

身のこなしまで、全てがスマートだった。

 

 

男として「憧れ」の存在だった。

 

 

・・・・何より、

 

人生で腐っていたボクを助けてくれた恩人だ。

 

 

蜘蛛の糸で救ってくれた張本人だ。

 

 

 

桐原先輩は、

 

 

先輩で、

 

上司で、

 

恩人で・・・・

 

 

兄貴であって・・・・

 

どこかで父親でもあった。

 

 

 

・・・・この人に出会えて良かった・・・・

 

 

 

食堂の窓から、長閑な日差しが入っている。

 

家族とご飯を食べてるような・・・・そんな、満ち足りた感じだ・・・・

 

 

 

「勉強したいんですよね・・・・・」

 

 

 

ボクが言った。

 

 

 

「行けよ。

 

 思った時が行く時だぜ。金はオレが出してやる」

 

 

 

 

あっさりと、ビジネススクールに通うことが決まった。

 

 

桐原先輩、上司の公認だ。

 

 

さらに、

 

会社には、こういった場合の「手当」もあって・・・授業料の1/2くらいの補助が出た。

 

 

手続きは先輩が全てをやってくれた・・・・さらに、残りの授業料の半分を出してくれた。

 

 

こうして、

 

ボクは、1/4の授業料でビジネススクールに通うことになったんだった。

 

 

 

新たな、

 

人生の幕が開く。