第1回目のリンカーンクラブサロンで、なぜ「リンカーン」という名前にこだわるのかという質問がありました。
そういう疑問をお持ちの方もいるかもしれませんので、それについて少し説明します。
私たちは民主主義という言葉にこだわっています。
良し悪しは別として、まず政治は民主主義でなければならないと考えてもきました。
ただし、遺憾ながら、言葉と言うものは不完全なもので、民主主義と言えば誰でも充分に言葉の持つ意味を理解できるか、あるいは伝わるかと言えばそうはいきません。受け手によっては様々な理解がなされます。
ですから、日本の政治の民主主義度を高めなければといっても、民主主義政治とはどういう政治なのか、一歩進んだ概念の確定がもとめられました。
すなわち民主主義政治とはどういう政治なのか、このことを容易に、できれば速やかに多くの人々に理解してもらわなければならないという問題意識を私たちが抱いたわけですが、このとき、思いついたのが、1863年アメリカの16代大統領の有名なゲティスバーグ古戦場での演説の結語、あまりにも有名な「人民の、人民による。人民のための政治をこの地上から消滅させてはならない」でした。
リンカーン大統領はこの演説の中で、「新しい自由の誕生」とは言いましたが、民主主義と言う言葉は使用していません。
しかし、この「人民の、人民による。人民のための政治」という言葉こそ民主主義政治の実相と核心を捉えている言葉だと私たちは気がついたのです。
だからこそゲティスバーグの演説は、リンカーン大統領の口を離れた1863年から今日2016年にいたる153年間、途切れることなく世代を超えて世界中に響き渡りつづけ、私たちの所まで到達したわけです。
リンカーン大統領のこの演説の言葉の持つ容易さ、正確さ、単純さ、そして浸透力などを勘案したとき、私たちの運動母体の名前をリンカーンクラブとつけることに躊躇させるものはなかったということなのです。
〔代表 武田文彦〕