LV-103様 で、東芝様のMOS石の音を、
ようやく耳にしたものの、その管球の味付けに、
第二世代のMOSそのものを、堪能したと言ってしまうは、
やはり躊躇われたのです。
※ 当たり前だろ何やってるの!!!とか、言わないでね
でもわたくしは、このとき密かな、期待を持っていたのです。
このたび紹介するこのひとが、第二世代のMOSあんぷでは?と。
あまりメジャーでなさそうだから、なかなか出回らないけれど、
ひとたび出れば相場も安く、そして運よく日を置かずして、
このひとをGETできたのです。
このひとのことを知ったのは、2003年ころでしたか。
見た目もバブル前ごろの、「みにこん」せっとのあんぷだと言うに、
秋葉原から少々離れた、老舗のしょっぷに置いてあったので、
査定が付くかも怪しげな、機械が何で?と目を凝らしたとき、
下の画像に写した綴りが、ぱねるふぇいすに踊ってたのです。
「へぇ? こんなあんぷがねぇ???」
放熱口から透かし見えたは、「もーるど」 たいぷの石であって、
このひとが世に出たころの、「もーるど」 たいぷのMOS石といえば、
それはおそらく東芝製かと。
日立様ならMOSについては、いわば「本家」にあたるのに、
なんだってまた、「外様」の石を?と、目を疑ったわたくしは、
だから2008年卯月の頭に、このひとを迎え入れたとき、
なによりまずは 「ご開帳」 して、2SK405/2SJ115が、
収まってるのを見届けたのです。
結果を聞けば他社の石なのに、自家薬籠中の音作り!
同じお家の先達である、HA-6800様 の、
切子細工を思わせるような、華麗な立体感だったり、
HMA-4500様 の、無垢なしなやかさのいずれとも、
異なるむきではあるものの、極細のペンで幾重にも、
線を重ねて描いたような、音像の縁の細やかさと、
背景描写の静けさだったり、あるいは動きの気配などとの、
コントラストが絶妙でした。
特に高域方向は、一つ一つは硬質なれど、
あまりに細かな繊毛が、密集しているかのような、
まこと独特の柔らかさやら、銀鼠の艶を覚えたのです。
これはMOSあんぷ共通で、低音域の力感が、
控えめになるはしかたなかれど、それさえ繋ぐすぴーかーに、
びくたー様のSX-3IIを、あてがったらば具合よく、
なによりハイコンポなどという、概念などもなかったころの、
ミニコンあんぷにこれだけの、音を詰め込むLo-D様の
その度量まこと、侮りがたし!!!
メーカーとしては地味なれど、ただ商売のためだけでなく、
一途で真面目な信念をもって、このあんぷをば生んだのだろうと。
だからわたくしは、この「漫遊」を、終えてその他のMOSあんぷ達を、
見送った今もこのひとだけは、手元に残しているのです。