このひとは先回書いた、SC-E232様
とのセットで、
2001年の年明けに、わたくしの家に招き入れたのです。
でも本当に欲しかったのは、すぴーかーだけだったのに、
店主はこのひと以外の機器とも、セットでなければ売れないと、
頑固に言い張るものだから、せんなく買ったものであり、
だから最初は積極的に、使う気などはなかったけれど、
よくよく見るとふろんとぱねるは、意外と好みの面構えだし、
試しに鳴らしてみたときも、「みにこん」のあんぷらしからぬ
しっかりとした音像を構えて見せたものだから、
そのまま渡りに船とばかり、リビング使いに収まったのです。
SC-E232様は、その相性をでんおん製の
あんぷに絞って整えた節を、強く感じたものなれど、
こちらはどんなすぴーかーをば、組み合わせてもそれなりに、
すっきりとした高域と、密度の高い低域で、
けれども決してドンシャリにせず、もちろん価格の垣根はあれど、
かっちりとした解像感と、「シズル感」やら「フレッシュ」という、
語感で表現される部分を、巧みに演出したようなのです。
そのサイズやら使い勝手も、併せて考慮したときに、
最初の気乗りの無さは失せ、なかなか満足度は高く、
それに後年お~でぃお雑誌の、「びんてーじあんぷ特集」で、
面白いことにこのひとが、はるかに値も張り格式ばった、
あんぷのお歴々に交じり、紹介されてたものだから、
ますます有頂天になり、 挙げ句に「この俺様の耳はネ申!!」
などと、天狗鼻にもなったのです。
でも、わたくしの連れ合いは、悲しいことを言うのです。
「見た目が全然、可愛くない」
わたくしのほうは、そのメタル感が、とてもお気に入りだったのに、
中古とはいえ、なけなしの、大枚はたいて買ったのに、
そんなわたくしの思いも知らず、酷い一言を放つのです。
でも、そんなことで家庭の不和を、作り出すのは馬鹿げた話。。。
新婚早々女房と、すれ違いまくる価値観に、
多難な前途を予見しつつも、泣く泣く折れたわたくしは、
このひとの身を、びくたー様のこれも同じく 「はいこんぽ」 なれど、
冴えない音のあんぷへと交換せざるを得なくなって、
ならば自分で使おうと、思えどその頃自室には、
足の踏み場もないほどの、え~ぶい機材が溢れており、
出る幕の消えたこのひとは、SC-232E様と同様、
2007年の5月半ばに、里子に出されてしまったのです。
でも、このひとがわたくしの、お気に入りだったことだけは、
疑いもない事実であり、このあと続くでんおん様の
あんぷの音の基調にも、通じていながら時代を下れば、
いささか過剰な味付けへと、残念ながら変ったものが、
このひとの音はその味付けが、ちょうど良さげな塩梅で、
その点はまさにでんおん様の、「良心」 をば感じるという、
印象を深くこの胸に、留め続けているのです。