このひとは、2001年の年明けに、
東武練馬は
不動通りの、道沿いにあった古道具屋で、
売りに出されていたものを、お囲い申し上げたのです。
ミニコンせっとの一員として、売り出されていたものだから、
でもわたくしが欲しかったのは、すぴーかーだけだったのに、
店主は他と一緒でなければ、売らぬと言い張るものだから、
「舅」
や「姑」、「小姑」までも、身請けせざるを得なかったのです。
※ 締めて壱萬伍千円也は、そのトータルで考えたらば、実は安い買い物だったっす。
もっとも、このとき選んだ訳は、リビング使いに手ごろなサイズで、
デザインもおとなしげなものをと、家族に迫られ探していた折、
たまたまこの目にとまっただけで、過去にさしたる思い入れもなく、
大した期待も持たずして、拙宅に持ち帰った後、
試しに聞いて見たところ、
柔らかなれど、ふやけ過ぎない、
意外なほどに気品に溢れた、音に驚かされたのです。
中高域に独特の、瑞々しさと艶が乗り、
低域の出は控えめなれど、かえって漂う雰囲気の、
演出巧みな表現は、確かにリビング向きではあれど、
このときわたくしが思ったことは、むしろ上級のシステムに、
柳の腰を支えてもらい、厚みを乗せれば、その真価をば、
発揮するのではなかろうか? などと、
でもその考えは必ずしも、正しいわけではなかったようで
例えば当時常用していた、TA-F555のESL との組み合わせでは、
一面 「うぉーむ」 と思えたものの、締りの緩い低域が、
だれて流され「ぶわぶわ」と、聞こえてしまうようでした。
その低域に芯を入れんと、その後も名だたるアンプをば、
あてがう程にどうした訳か、意図とは離れて響いてしまい、
後に耳するところでは、その「うーふぁー」は「えげれす」製で、
欧州調のソフトな音を、醸し出さんと設えたものに、
所詮は無理な注文では?と、
でもその割には予め、組み合わせられたあんぷにしたって、
大掛かりではないけれど、一応しっくりツボを得ており、
これが、みにこんぽの音作り?
でも、ちょっとそれも、違うような。。。
と、ここへ来て、
ハタと気づいたわたくしは、この当時サブで鳴らしておった、
初代のPMA-390 を、あてがったところ、ようやくにして、
当初描いたもくろみ通りの、音を奏でてくれたのです。
数年を経て戯れに、PMA-S10様の、これも同じく初代機 を、
試しに繋いでみたときも、やはり狙った方向で、
質を数段高めたものが、得られたように思えたのです。
だから、やっぱり、このひとは、
当時のでんおん様のあんぷに、相性を絞って作られたのだと、
鮮度の高さと聞こえる部分と、程良く締まった低域の、
場合によってはちょっとだけ、金物めいた表現に
スイートスポットがあるようでした。
※ そうは言ってもあの当時、でんおん様のあんぷには、めーかーの良心を感じましたよ。
そうこうするうち、だいやとーんのDS-500番様 を、
手にしてからはこのひとの、出番のほどは少なくなって、
2007年の6月に、自宅リフォーム資金の足しにと、
売り飛ばされてしまったのです。
されど、このひととの出会いによって、機材の主張や個性をば、
組み合わさする楽しみ以外に、逆に 「ぶらんど」 を揃えてしまい、
めーかーが持つ世界感をば、徹底して味わうと言う、
嗜みかたがあることに、改めて気づかされたのです。