放射線科のいっちゃん偉い先生
放射線治療時の脳のMRI画像を
しばらく見た後に
柔らかい口調で
ゆっくりと話し始めはった
「忙しいのも分かりますが
少しゆっくりしてね…
少しご自分の時間を作っても
いいんじゃないでしょうか…」
耳鳴りのような症状
耳の閉塞感みたいな自覚症状あり
治療が少し開いたこと
多忙だった話の流れから
こんな言葉を聞かされた
その時はそう思わんかったけど
家に帰ってから
その言葉が何を意味するのか…
先生は今までに
たくさんの患者の頭の画像診断を
してきはったでしょう
経験上、それでその言葉が
出てきたんやろうし…
分かっとうって!!
もう転移しやすいとこ全部転移したし
終わりが近づいてきとうことくらい
あたしも分かっとうって!!
先生の言葉を思い出しては
ポロポロ落ちる涙をぬぐう
思い出なんかわざわざ作りたない!
あたしは何気ない日常が幸せやねん
それが続くことが望みであって
病気とは無縁の平穏な日常
急に体調を心配してくる家族やら、
思い出作りの家族旅行?
そんなん望んでへん!!
美味しいもん作って
家族でテーブル囲んで
たわいない話しながら
TVのタイガースの試合に一喜一憂したり
友達や部活、学校の話したり、
そんな一家団らんが
いっちゃん幸せやねん…から…
もう…
何も言わんといて下さい…
十分、分かってます から!
まだもう少しそっとしといて下さい…
そんな言葉聞きたない