こんにちは、Kenです!
今回は英語学習の定番トレーニング「シャドーイング」の効果を最大限に引き出すためのコツを紹介します。
結論から言うと——
「自我を入れずに、話者の完全コピーを目指す」
これがシャドーイングを極める最大のポイントです。
では、なぜそれが重要なのか。順を追って解説していきましょう。
■ シャドーイングの2種類と、それぞれの効果
シャドーイングには大きく2つのタイプがあります。
| プロソディー・シャドーイング | :音声知覚(音を正確に捉える力)を強化 |
| コンテンツ・シャドーイング | :音声知覚+内容理解(意味を理解する力)を強化 |
リスニングは「音をキャッチする段階」と「意味を理解する段階」の2プロセスで構成されています。
この両方に関わっているのが、ワーキングメモリ(作業記憶)です。
ワーキングメモリは、短期記憶を含みつつも、それ以上の機能を持っています。「聞いた音を保持しながら、同時に意味を処理する」というように、複数の認知活動を並行して行うのが特徴です。音声知覚も内容理解も、すべてこのワーキングメモリのリソースを使います。
そのため、聞いているときは理解できても、後で思い出せない——というのは、
音声認識や理解の処理にメモリを使い切ってしまい、記憶保持の余裕がなくなっている状態なんです。
つまり、リスニングを鍛えるには、
「今どのプロセス(音・意味)を鍛えたいのか」を意識して、
それに合ったシャドーイングを選ぶ必要があります。
初めのうちは、音を正確に捉えるプロソディー・シャドーイングから始めるのが効果的です。
ピアノで言えば、両手で弾く前に片手で正確に弾けるようにする段階です。
■ シャドーイング最大のコツ:「話者の完コピ」
ここからが本題です。
どのタイプのシャドーイングでも最も重要なのは、「話者の完全コピーを目指す」こと。
ところが、多くの人は「真似しているつもり」でも、無意識に自分の癖を混ぜてしまいます。
発音、イントネーション、テンポ、さらには表情や仕草にまで、自我がにじみ出るのです。
しかし英語の発話は、部分の集合ではなく一つのゲシュタルト(まとまり)です。
つまり、一部を変えると全体の印象が変わってしまうということ。
ソフトテニスを練習したいのに、硬式テニスで練習しているようなものです。似ていても、目的にはズレがあります。
■ 発音の例:「Express」は“エキスプレス”じゃない
例えば “American Express” の発音を考えてみましょう。
多くの日本人は「エキスプレス」と発音しますが、実際の音は「エクスプレス」に近い。
“x” の音は「クス」であって、「キス」ではないんです。“box” “text” “max” なども同じですよね。
これは発音に限らず、感情の込め方や意味の理解にも通じます。
自分の日本語モードや癖を混ぜてしまうと、無意識のうちに全体のニュアンスがズレていきます。
したがって、「話者になりきる」という姿勢がとても大切。
「モノマネ」というよりも「本人になる」くらいの気持ちで取り組むと効果が劇的に上がります。
■ ゲシュタルトとは何か:「全体」と「部分」の双方向関係
ここで登場した「ゲシュタルト」という言葉について、少し掘り下げましょう。
ゲシュタルトには2つの重要な特徴があります。
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全体は部分の総和以上になる。
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部分と全体は双方向に影響し合う。
たとえば、顔文字の ^_^ を見てみましょう。「^」や「_」だけでは顔には見えませんが、全体になると顔として認識できます。
これが「全体は部分の総和以上になる」という性質です。
では ^_^; に変えたらどうでしょう?セミコロンひとつで、まったく違う印象になりますよね。
^o^ にしても同じ。部分が変われば、全体の意味が変わってしまう。
これが「部分と全体は双方向に影響する」ということです。
言葉でも同じです。
「私は昨日カレーを食べました」の「私」を「君」に変えるだけで、全体の意味が変わります。あるいは単語は同じでも、感情を込めるトーンを変えるだけで、メッセージはまったく違う印象になります。悲しそうに言うのか、楽しそうに言うのか等。
だからこそ、「自我を入れてはいけない」のです。
話者と同じリズム・イントネーション・感情で話さなければ、全体(ゲシュタルト)が別物になってしまうわけですね。
■ 「自我を入れない学び方」は、英語以外の学びにも通じる
この考え方は、英語だけにとどまりません。実はあらゆる学びの本質でもあります。
何かを学ぶときは、まず「自我を入れずに、そのままインストールする」ことが大切。
いわゆる「守破離」の「守」の段階です。
最初に全体の“型”を丸ごと真似し、体に染み込ませる。
それによって初めて、「部分」の意味が理解できるようになります。
なぜなら、全体を理解して初めて、部分の役割が見えるからです。
学びの途中段階で分析しようとしても、まだ全体像が掴めていないため理解が浅くなります。
まずは「言われた通りに一旦やってみる」——この姿勢が、どんな分野でも最も成長を早めます。
■ まとめ:完コピから学びが始まる
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シャドーイングには「音声知覚」と「内容理解」、どちらもワーキングメモリを使う
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コツは「話者の完コピ」、つまり「自我を消して話者を憑依させる」こと
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これは英語だけでなく、すべての学びに通じる本質的な姿勢
まずは「完コピ」を意識して取り組むこと。
これだけで、あなたのリスニングも理解力も見違えるほど変わります。
いつか、リスニング全体のプロセスや、より具体的なトレーニング法も詳しく解説しますね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!








