練習への道しるべ
昔の留学時代、恩師であるクレヴェンジャー先生から言われた言葉をふと思い出しました。
留学期間は1年の予定でしたが、6月末にリサイタルを開くことになり、曲目はすべて先生が選んでくださいました。メインはヒンデミットのホルンソナタ。前半はフロイディス・ヴィクレさんのメロディ集から数曲。
先生は、私が「歌うこと」が得意な生徒だと思っていたようで、選んでくださった曲はどれもメロディーを大切に歌い上げるものばかりでした。
レッスン後、先生は一言。「全曲4回くらい通しなさい。」
ヒンデミットのホルンソナタを4回も通すなんて、当時の私には到底無理だと思いました。前半のメロディックな曲の後にヒンデミットを演奏すると、たった1回でもうヘトヘトです。
それでも、先生の言葉の真意はなんとなく理解できました。何回も通すことで、本番でどうすれば楽に演奏できるか、その方法を見つけなさいということなのだろう、と。
先生の言葉通りに4回通す練習を試みましたが、2回やっただけでもう限界。それでもなんとかやろうと努力しましたが、結局4回はできませんでした。
今、再び向き合う
あれからずいぶん時間が経ちましたが、今朝、その時のことを思い出し、とりあえず2回通してみようと試みました。やはり簡単ではありませんでしたが、「本番を成功させるためには、これを乗り越えなければならない」という気持ちが湧いてきました。
いかに楽に演奏するかを知るためには、何度も通して、自分の限界と向き合う必要があります。楽をするためにも、とにかく練習するしかない。この矛盾こそが、演奏家としての成長には不可欠なのだと改めて感じています。
明日は、ひとまず全曲2回通すことを目標に練習に励みたいと思います。