俺が 潤さんの家に着くと、
潤さんは 玄関前で待っていてくれて、

「翔、グッドタイミング❗️
俺 そろそろ着く頃かなぁ、って思って
ちょうど玄関を出た所だったんだよ。」

ニコニコと笑顔で俺を迎えてくれた潤さんは、
制服からカジュアルな服に着替えていて、
服の上にはラベンダー色のエプロン。

その姿がめちゃ可愛いから、
俺はドキドキしちゃってしどろもどろ。

「あ、えっと/// き、今日は
お招い、、お招き頂き、、、」

「ふふっ、そんな堅苦しい挨拶は
いいから さ、どうぞ〜♪」
「ばあちゃ〜ん、櫻井君 来たよ〜。」

「は〜い。」

潤さんに呼ばれて出て来たおばあちゃんは、
目元が潤さんと似ている感じの、
小柄で優しそうなおばあちゃん。

「さあ、どうぞ 上がって。」

「はい、お邪魔します。」

こうして 一昨日も来た
潤さんの家のリビングに通されて
ひと通りの挨拶を終えたあと、

潤さんから、

「俺が、
車がトラウマになった理由 話すね。」
突然 言われて、

「うん。」と答えたものの、
どうして こんなに急に?と思っていたら、

おばあちゃんが、
「一昨日 先生から、
今までの辛かった事、
同年代で話せる人はいない?」って
聞かれたのよね。」

「えっ? 先生って学校の?」

「ううん、病院の、、、」

そうして
潤さんが話してくれた事は、

俺が 潤さんの事で知りたい、と思っていた事で、

潤さんが 
車がトラウマになってしまった理由と
それに関連する全ての事。




そもそも 潤さんのお父さんは
いわゆる 転勤族で、
2〜3年に一度の割合で転勤している事。

潤さんは それがイヤで
入学から卒業まで一つの所に通いたくて、
祖父母の家から通える風山高校を昨年 受けて
合格した事。


その風山高校の入学式の直前に、
潤さんは ある場所で大きな交通事故を
目撃してしまい、

その事が原因で車がトラウマになって
外に出るのが怖くなり
学校へ行きたいという気持ちはあるものの
足がすくんでしまって外へ出られず
学校を休学せざるを得なかった事。

大きな病院の心療内科に通い、
先生の助言から
一年間 掛けて少しずつ行動範囲を広げていき、
漸く一人で学校に行ける自信が着いて
学校へ復学した事。


「そんな事があったんだ、、、。」

「うん、学校の梅田先生には 
事情を話してあるんだけど、
でも 俺 〝外が怖い〟という理由で
一年間も学校を休んだ、って事、
恥ずかしくて クラスのみんなには 
話したくなかったんだよね。

「いや いや、そんな、、、
全然 恥ずかしい事じゃないと思うよ、俺は。」

「ホントに?」

「うん、、、、でも 言いたくなかったら
言わなくてもいい事だとも思う。」

「ふふっ、良かったわね、潤ちゃん。
櫻井君、
この子ったらね、毎日 櫻井君の話を
私にするのよ。
『学級委員長の櫻井君が 凄く優しくて
一つ歳下だけど 頼りになるし、
ホントに素敵な人なんだよ』って。」

「///ばあちゃんたら 何 言ってんの?
そんな事 俺 ひと言も、言ってないよ!」

「あら そう?
私には そう聞こえたけど、違ったかしら?

潤ちゃんが 何とか毎日
学校へ行けるようになったのも、
櫻井君が優しくしてくれたお陰だから
一度 お礼を言いたくて、来て貰ったの。
櫻井君、これからも潤の事 宜しくね。」

「はい、勿論!
こちらこそよろしくお願いします。」

「・・・///」

「じゃあ 私は そろそろ夕食の準備の続きを
しましょうかね。」

「あっ、俺も手伝うよ。」

「いいわよ、潤ちゃんは。
お客様を一人にしておくわけには
いかないでしょ?」

そう言うと
おばあちゃんは夕食の続きを作る為に
キッチンへ移動して、

リビングのソファーには
当然 俺と潤さんだけ。

「潤さんのおばあちゃん 優しいね。」

「うん、
でもね俺 事故を目撃したあと、
ばあちゃんの家に来た事、
すっごく後悔したんだよね、
来なければ 良かった、って。
だけど、今は 来て良かった、って思ってる。

「ふうん、それはどうして?」

「それは、、、もう、知らないっ///」


きっと 潤さんの言葉の続きは、
『ばあちゃんの家に来たお陰で
こうして翔と出会えたから、
来て良かった♡と思ってる』に違いない、、、筈。


俺、潤さんに愛されてめちゃくちゃ幸せ❤️