松本君が転入して来てから半月。

未だに松本君は 大人しくて、

「何か 分からない事 無い?」

「大丈夫です。」

「次の化学の授業は
化学室だから 一緒に行こ。」

「初日に教えて貰ったから ひとりで行けます。」

「そぅ?、、、もやもや


朝 登校しても
松本君の方からは挨拶してくれないから、

俺が気付かないでいると
いつの間にか席に着いて本を読んでいて、

話し掛けるな❗️というオーラを
ビンビンに出していて、
話し掛けるどころか 
近付くのも躊躇してしまうほど。


それに放課後は 放課後で、
サッと帰ってしまうから、
話し掛けられず、

なんか俺 避けられてるような、、、、

残念、というか
俺自身 松本君と もっと仲良くなりたいし、
クラスにも馴染んで欲しいけど、

やっぱりイジメが原因で人間不信に
なっているのかな?

学級委員長として なんとかしてあげたいのに
何も出来ない自分が もどかしい。

とは言っても、
松本君が 本を読んだりしている方が、
安心して過ごせるなら

俺が無理矢理 みんなの輪の中に入れるのは
有難迷惑でしかないだろうし、、、


そんな状態だったから
クラスの中でも、

「松本君てさぁ 静か過ぎて
いるか いないか分からないよね。」

「「『おはよう!』って声を掛けても
小さい声でおはようございますって言うだけで 
すぐに席に着いて本を読んでるし、」」

「あとさぁ、
5月末に転入、っておかしくない?」

「「「うん、俺もそう思ってた!
絶対 なんか訳ありだよね。」」」

「ね 委員長、
松本君て何者?梅っちから聞いてない?」

「いや 俺 全然 聞いてないよ、
『分からない事を教えてやってくれ』って
梅っちから頼まれただけで 他には何も、、、、」

「そっかぁ、、、
でも ホントに松本君て
どんな〝訳あり〟なんだろうね?」

「「でもさぁ、
そんな謎な所が良くない?」」

「「「うん、ホントそう!!
謎だから尚更 魅力的に思える、っていうか
俺 興味あるなぁ、松本君の事。」」」

「うん、俺も!」

「「授業中とか本を読んでいる時は
メガネを掛けてる事が多いけど
外した時の目が めちゃくちゃ綺麗でさぁ、
俺 タイプだなぁ(#^.^#)」」

「「「ミステリアスで いいよね♡」」」


『・・・ウソッガーン

クラスの連中が
そんな目で松本君の事を見ていたなんて、
全く知らなかった、、、魂


なんか、、、
胸が ざわざわする。