引っ越しの日。
社長がマンションに置いてある物は、
全部 使っていい、と言うから、
僕の持っていた電化製品などは、
人にあげたり 処分したりして、
実際の荷物は洋服と、ちょっとした雑貨くらい。
だから
引っ越し業者を わざわざ頼む程の量では無くて、
社長に事務所のワンボックスカーを借り、
事務所のスタッフにも手伝って貰って、
あっという間に引っ越しは完了した。
手伝ってくれたスタッフが帰り、
荷物の片付けも大方 済んだ午後、
散歩がてら、
近所のスーパーに食料品を買いに行って、
沢山の食材を買い込んで、
その帰り道、
マンション近くの交差点で信号待ちをしている時、
僕が見た人は、、、
『えっ? 櫻井さん?』
僕がいる歩道の反対側
丁度 マンションの前辺りにいる人が
櫻井さんに見えた。
途端にドキドキする僕の胸。
『早く、早く、信号変われ!』
そう思うのに なかなか変わらなくて、
僕が信号を待つ間に、
その人は タクシーに乗って行ってしまった。
本当に僕が見たのは櫻井さんだったのかな?
引っ越し前 社長から、
「此処な、結構 芸能人も住んでるんだぞ。」
そう言われていた所為で、
全くの別人が、
櫻井さんに見えてしまったのかもしれない。
眼鏡を掛けてなかったから
顔は はっきり分からなかったけど、
あのシルエットは、櫻井さんだったような、、、
もし 万が一
あの人が本当に櫻井さんだったら...
そして櫻井さんが、
このマンションの住人で、
いつか遭遇したら...
『櫻井さんのファンです。』って言おうかな?
でも やっぱり、
完全にプライベートな場所である自宅マンションで、
『ファンです』なんて言って近付いたら
櫻井さん きっとイヤだよ..ね。
だけど それより
櫻井さんを目の前にしたら、
〝ハッ〟と息を飲んで、
そのまま息を吸う事を忘れて、倒れちゃうかも。。
そしたら 櫻井さんに迷惑掛けちゃう、、、
大好きな櫻井さんに 迷惑だけは 掛けたくない。
そんな あり得ない取り越し苦労をして、
悩んでいる自分に苦笑いしながら、
こんなんじゃ 櫻井さん専属の
スタイリストになんかなれない、
しっかりしなくちゃ、と思いながら部屋に帰った。