本格的に授業が始まった。

どんな時間割を組むか、すごく悩んだけど
しょおさんが 色々アドバイスしてくれて
自分でも満足の出来る時間割が組めた。

月曜日から金曜日まで びっしりで、
ハードではあるけれど、
西田さんが車で送り迎えしてくれるから
満員電車に乗らなくて済むし、
学校への行き帰りに
しょおさんが勉強を教えてくれるから、
俺にとっては 夢のような環境。



そんなある日、

今日の1限目は世界史の授業。

座る席は特に決められていないから
俺はいつもの窓際の席に座り、
授業が始まるのを待っていた。

すると、
教室の出入り口近くが騒がしい。

『なんだろう?』
とは思ったものの 、
すぐに静かになったし、
声がした方をチラッと見たけれど、
特に変わった様子もなかったから
気にも留めないでいたのだけれど...




「今日は ここまで」
と 先生が言い、授業が終わった。

その直後、
授業が始まる前と同じように
教室の出入り口の方から
ざわめく声が聞こえて来た。

そのざわめく声の方に目を向けると、
そこには、しょおさんと智さん‼️

急いで、2人の所に行って声を掛けると、

だから、バレるって言ったろ。

そうだけどさぁ...ショボーン

そんなふうに話す2人は、すごくバツが悪そう。



白櫻では、
既に単位を取った科目でも、
復習の意味で もう一度 授業を受ける事は
よくある事で、
もちろんそれは 学校から認められているから、
しょおさんと智さんが世界史の授業に
出ていたとしても全く問題ない。

けれど その〝復習〟は、
数学や英語の授業が殆どで
世界史の授業を〝復習〟するというのは、
聞いた事がない。



2人が 世界史の授業 受けてたなんて、
全然知らなかった、
どうして教えてくれなかったの?
ちょっと不満を込めて そう聞くと、

潤、もう2限目 始まっちゃうから
昼休みにまた、
しょおさんは、
はぐらかすように そう言うと、
ニヤニヤ笑っている智さんの手を引き、
俺の前から足早に去って行ってしまった。