昼食は、中庭のテラスで。

潤が来る前からそうしようと決めていた。

誰にも邪魔されないで2人だけで食事を
したかったから。

白櫻のレストランの食事はいつも美味しいけど
潤と2人だと一層 美味しいし、話も弾む。


潤と昼食を取りながら話したのは、
好きな食べ物の話や学校の話、
それに近所の猫の話など身近な話から
最近のニュースの話まで、
どんなに話しても話が尽きない。

初めて潤を見た時、
そのきれいな笑顔に撃ち抜かれた俺だけど、
会って話してみると、俺が思っていた何百倍も
魅力的だった。

俺が殆ど話して 潤は〝聞き役〟だったけど、
すごく楽しそうに俺の話を聞いてくれた。

俺が小さい頃から 
沢山 〝習い事〟をしていた事を話したら、
その数の多さに目をまぁるくして驚いたり、
その話の流れで、
絵画は 自分の才能の無さに気付いて
すぐに辞めた話をしたら、
『え〜、ホントに?』
って言いながら、クスクス笑ったり。

その度に 表情が変わって
しかも その表情の全てがキラキラしてる。

今日 こうして会えて良かった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇



家まで、送って行くよ。

遠慮する潤を 車に乗せて帰るのも、
少しでも長く一緒にいたかったから。



潤の家の前に着いて 降りる時、

ありがとうございました。
すごく楽しかったです。

潤は そう言ってくれたけど、
俺の連絡先を潤が聞く事はなかった。

それが すごく寂しかった。


潤から聞かれるのを待ってないで
俺の方から 積極的に連絡先を書いたメモを
渡しておけば良かったのかなぁ?



ねぇ、西田。
さっき別れたばかりなのに、
もう会いたいって思う俺っておかしい?

そんな俺の問いに 西田は、
ニコニコと笑うだけで何も答えてくれなかった。