ピンポ〜ン

朝8時 きっかり、家の玄関のチャイムが鳴る。

『本当に来た‼︎ 』

「潤、来たわよ。早く 早く音譜

母さんに急かされて玄関を出ると、
そこには、
ピシッとしたスーツを着て 白い手袋をした
男の人が立っていた。

「白櫻学園から、お迎えに上がりました。」

そう言われて 乗り込んだ車は
外国製の車で 名前は分からないけど
すごい高級車だという事だけは分かる。

こんな車 初めてで それだけで緊張する。

「私、西田と申します。
これから、松本様を白櫻学園高等部まで
お送りさせて頂きます。」

はっ、はいっ!

「お時間、30分程で到着すると思いますので、
それまで どうぞごゆっくりなさって下さい。」

はい、ありがとうございますっ!

『ごゆっくり…』
なんて言われても、そんなのムリ。

普通のタクシーだって、
あんまり乗った事なくて ドキドキするのに• • •

『何か話しかけた方がいいのかな?』

『気まずいよ〜』

『信号が赤になって停まったら
降りてしまおうか?』

30分間 ずっとそんな事ばかり考えていたから、
白櫻学園に着いた時には ぐったり。

そんな俺を、
校門の前で笑顔で迎えてくれた人は• • •

待ってたよ、君が来るのをニコニコ