受験勉強に明け暮れる毎日。

それは 夏休みに入って一段と厳しさを増し、
土曜•日曜も休みなし。

学校での補講や模試。

塾でも 普通のカリキュラムの他に、独自の試験。

息詰まる、
そんな気持ちを発散したくて
フラッと入った通り沿いのカラオケ店。

部屋に入って、
俺の大好きなミスチルの歌を
思いっきり歌っていた時、
店員がソフトドリンクを運んで来た。

俺は一旦 歌うのをやめて、
その店員を見ると 目が合って…。

あっ!泣き虫のお兄さん。
俺がずっとずっと会いたかった少年。

泣き虫じゃねえし、
あの時は 目にゴミが入っただけだし。

そう? まぁいいけどニコニコ
お兄さん、
ごゆっくりどうぞ〜音譜

お兄さんじゃなくて〝翔〟だから、

しょお…くん?

そう、翔、
櫻井翔。

櫻井しょおくん…。
もう泣かないでねウインク

お前な〜、

僕も、

えっ、

僕も〝お前〟じゃなくて松本潤だから。



あの…

ん?

しょおくんの歌うの聞いちゃったんだけど、
しょおくんの歌声、いいなって思った照れ

潤はそう言うと、お辞儀をして
部屋から出て行った。
少し顔を赤らめていたように見えたけど
俺の気のせい?

今まで、
自分の歌声を褒めて貰った事など無かったから
凄く嬉しくて、心が暖かくなった。



5ヶ月ぶりに会った潤は、少し生意気な口振りで
ちょっとだけ大人になったような、
そんな気がしたけど…
でも、
初めて会った時に見せてくれたあの優しい笑顔は
変わらないままだった。