『グッドラック、ハリウッド』紀伊国屋サザンシアター | らいむすとーん

『グッドラック、ハリウッド』紀伊国屋サザンシアター

『グッドラック、ハリウッド』

紀伊国屋サザンシアター

14列16番

1時間45分(休憩なし)

作:リー・カルチェイム
翻訳:小田島恒志
演出:山田和也

出演:
長塚京三:ボビー・ラッセル
久世星佳:メアリー・オーヘア
筒井道隆:デニス・プラット

今回はコメディ。ってそんなに可笑しくはなかったけど。
ひとこと先に言うならば、この作品で\7,000.-とはちと高い。


昔の洋画に詳しい人はまた違うようにセリフを楽しめた(?)のかもしれないが、私にはそのセリフたちを大して飲み込むことはできなかった。
この戯曲自体が、昔の誰かをモチーフにしているらしいのだけど、そのヘンはさっぱり分からない。
ま、少しくらいは笑えたけどね。
でもこの作品は最後の終わり方が意外で面白い。

ストーリ:
過去に傑作を残した作家であり監督であるボビーは、机の上に乗り、天井から吊るされた紐の輪に手を掛けたところだった。そこに新人作家のデニスが自分の部屋を間違えて扉を開けてしまう。

「あれ、ボビー・ラッセルさんですよね、憧れの人だったんです、お会いできて光栄です」

時代の求める新鮮さを失った作品しか書けなくなったボビーは会社に籍はあったが彼の映画が作られることはなかった。

一方、デニスといえば新人とはいえ3本の契約が会社との間に成立していた。

互いに書いた作品を読みあう二人。

デニスはボビーの恋愛作品「さらば、あとはよろしく」を、凄くいいけど、今の風潮のエッジがきいてない、ヒップじゃないと言う。
ボビーはデニスの作品を、可能性はあるが制作にこぎつけるには自分が手伝ったとしても一年は掛かるだろう、と言う。

ボビーはひらめいた。本は自分の作品がよく出来ている。多少は直すかもしれない(タイトルくらいは)。
でも「ボビー・ラッセル」を会社は取り上げはしない。
そこでネーム,エンドロールに載る名前は「デニス」すればいい、と。
名前が載る必要はない、映画が作れればいいんだ、と。
その説得にデニスは乗った。

デニスは、ボビーの作品「さらば、あとはよろしく」を「愛の半熟卵」とタイトルを代えて、会社に持ち込む。
会社はOKを出した。制約もない、OKが出た。ただ、「監督は君(デニス)がやればいい」と。
ボビーは、何故なんだ、あれだけ「監督には是非ボビー・ラッセルがいい」と云えと言っただろう、と問い詰める。

結局ボビーは、監督経験のないデニスに事前に下絵にカット割から事細かに手引きすることになる。
制作にボビーはタッチできない。途中でフィルムをチェックすることもできない。
「では私が観れるのはいつだ?」
「完成してからです」

こうして二人の計画は進んでいった。

ボビーの助手のメアリーは、ひそかにボビーに想いを寄せていた。監督としての仕事は立派にやり終えたのだから他に好きなことを自由にすればいいのに!とも思っていた。
ボビーが夜な夜な下構図の作成をしていると、その彼女がデニスの「愛の半熟卵」はボビーの「さらば、あとはよろしく」そのままではないですか!と駆け込んでくる。ボビーは事情を話しメアリーをなだめる。

作品は完成した。
お披露目のパーティが開かれた。
ボビーが目にした映画は、ボビーが書いた本からさんざんに書き直されたとても受け入れることの出来ない代物になっていた。
デニスが彼独自のアイディアでいじってしまったのだ。
ボビーはデニスを責めるがデニスも「僕はそうはいかないんですよ」と切り返す。
落胆するボビー。

そんな姿にメアリーは「会社から2週間の休みを貰う、良かったら以前に居たというパリを案内してもらえないだろうか」とボビーに乞うが、落胆で気が晴れなかったせいか、なかなか承知しなかった。

デニスが再度「母が帰る前にボビーさんに挨拶をしたいと」とボビーの部屋に入ると、ボビーはまたも、机の上に乗り、天井から吊るされた紐に手を掛けようとしていたところだった。

「え、また、どうして?」

ボビーは紐に手を掛けた。すると紐はするすると次から次へと流れていき、するっと抜けて全て床に落ちてしまう。
その光景を前に呆然と立つデニス。

「あっはっは、コメディだよ」
机から降り、
「2週間、ご婦人にパリを案内しないといけないんでね」
上着と帽子を身に着け、
「さらば、あとはよろしく」
とだけ言い残してボビーは部屋を出て行くのだった。
(終幕)