木曜の夜から、
子供を連れて
実家へ行った。
金曜日に
違う病院に連れて行くためだ。

風がすごかった。
こんな暗い中、
しかも風も強く、
運転していくのは、
私にとって
かなりの緊張だった。
ただ、子供たちは車の中で
寝ていても、
一緒にいてくれているだけで、
心強かった。
一人じゃこんな道、
怖くて走りたくない。

父も今、
そんな環境の中にいるのかもしれない。

父は、
怒ってばかりいた。
一人では、とにかく不安らしく、
誰かにいて欲しいという。
母との二人の暮らしの中では、
それはなかなか難しい事で、
その難しさを理解できないようだ。

金曜日、朝7時に家を出て
診察の受付を済ませ、
父を迎えに行った。
新しく行った病院では、
血液と尿の検査だけで、
MRIは来週になった。

家に帰り、
少しすると、
高校生の
姉の子供たちが来た。
父は、歓迎するどころか、
怒った顔をして、
ベッドに横になり、
「静かにしてくれ、
俺がこんな状態なのに、
お前たちは、よく来れるな!!」
と言い放った。
せっかく来たのに、
こんなことを言われ
子供たちは気の毒だけれど、
病気である事を理解してもらい、
離れにある部屋で遊ばせた。

とはいえ父は、
気になるのか、
足下もおぼつかないながらも、
一人で
何度もベッドから起きてきて、
私と母しかいないリビングに顔を出した。

その夜は、姉も
兄もやって来て、
みんなで静かにワイワイとやっていると、
やはり父がやって来たりして、
怒るわけでもないので、
リビングの椅子に座らせてみた。
何分もしないで、ベッドに戻ると言うので、
私もふざけて
父の手を持って
みんなに
「アディオス、アミーゴ~」
と言ったら、
子供たちにウケ、
父のこわばった表情も
緩んだ。

その夜は
相変わらず、
トイレが間に合わず、
何度も着替えていて、
母の疲れも相当なモノだった。

翌朝、
父に
母が疲れているから寝ている、
と伝えると、
小さくうなずいた。

そこからか、
父から出ていた
怒りの空気が変わった。
母の事を理解したとは思えないが、
穏やかになった。

父の書斎がある部屋まで
付き添って歩き、
椅子に座り、
一緒に庭を眺めながら、
「畑をやろう、
モノが実るのは、良い事だ、
お前も畑、好きか?」
なんて聞いて来た。
その言葉に、
涙があふれて仕方なかった。
父の瞳を見ると、
ものすごく
まっすぐだった。
今まで父に対して、
怒りばかりが募っていたのに、
気持ちの壁が一気に
崩れた。

前日に
子供たちにとった父の態度で、
もう、この家には
二度と来ない、
とまで思ったのに、
時間のあるときは
なるべく来て、
父のそばで
父の話を聞こうと
思った。

午前中には家に戻り、
実家に連絡をして
父の様子を聞くと、
静かだと言う。

今朝も連絡したら、
昨日の夜は早く寝てしまい、
トイレも大丈夫で
父も母もぐっすり寝たという。

そして今日は、
寝てばかりいると。

そして私は、
父を思うと涙が出て仕方がない。