海国記、服部真澄著。
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中国大陸から九州と瀬戸内を経て、平安の都・京都まで。西海を結ぶ海路に乗って流れ込んできた当代の大国・宋の華麗な文物は、天皇家、藤原氏、平氏、源氏を巻き込み、国家の運命を決めてゆく。政治と経済の基盤が固まりつつあった時代の日本に、「海の道」が及ぼした決定的な影響とは―。比類なき斬新な視点に立って平安から鎌倉期の変転を展望する、歴史小説の新機軸、堂々誕生。
というわけで、平清盛の祖父から話は始まる。最初は受領でもなく、貴族に仕える武士。
宋からもたらされる富を得るには、博多~瀬戸内海、難波の海・川を制することだと気づいて
それからの栄華が・・・なお話。
だいぶ前の大河ドラマを思い出しながら見ていった。
確か、祇園女御が聖子ちゃんだったよな・・・と思いつつ。
この本では、祇園女御は、「瀬戸内海の小さな船の船頭」と、「宋国人と日本のハーフの娘」との娘ってことに。
ドラマではきったない若き清盛だったけど、この本では父の時代から貴公子然と描かれている。
ふーーーむ、どっちが正解?
なんといっても1000年前だからね~
上下巻と短めなので、サクサク進んでいき、どんどん読めた。
平治の乱やら、源平合戦の戦闘シーンは描かず。
経済的な話が多いけど~ほんと?ほとんどは、国や皇室・貴族の御殿や寺院の建設費用の
ピンハネなんだけど。あとは、中国物の輸入の儲けで巨万の富と権力を手に入れる。
「信西」のキャラが面白かった。どんな人か忘れてたので、どうなるか気になっちゃって。
日宋貿易、福原遷都、晩年の傲慢さ強引さはよく描かれてて
彼の死後の一門の不幸を考えると、複雑。
瀬戸内海の地名や、京都の有名な寺(これがどこも強欲で乱暴者)も登場。
宮島も当然たっぷり登場。厳島と今は書くけど、当時は「伊都岐嶋」だったのね。
瀬戸内海は島が多くて、風景も似てて、確かに優秀な船を操る人が必要ね。
さらに京都の寺の所領と船が絡んでるとは・・・ほほーー
鎌倉時代・承久の乱ののち、貴族社会の実権を握るのは、西園寺公経(きんつね)。
この人、藤原北家でもあり、清盛の異母弟の孫娘が母。
さらに彼の孫(娘の子)が鎌倉幕府第4代将軍になる。
公経の妻は頼朝の姪だから・・・この4代将軍は、藤原氏と平氏と源氏の血が混じってる!
それで文句出なくて、選ばれたのね。ほほーー
平家はみんな滅んだと思ってたのに、清盛の異母弟一族は無事で
それどころか重要な役目をしてるって~初めて知ったわ。