文庫本上下巻。

島田荘司著。2010年単行本に。

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・・・・・あまぞんさんの紹介より

わずか十ヶ月間の活躍、突然の消息不明。写楽を知る同時代の絵師、板元の不可解な沈黙。錯綜する諸説、乱立する矛盾。歴史の点と線をつなぎ浮上する謎の言葉「命須照」、見過ごされてきた「日記」、辿りついた古びた墓石。史実と虚構のモザイクが完成する時、美術史上最大の迷宮事件の「真犯人」が姿を現す。

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前半の登場人物の背景説明が長くて、肝心の謎解きが未完に。
そこで終わり?

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*****~~~~~ネタバレ~~~~~*****



主人公のキャラが微妙で、おいおい情けないでしょ!妻のせいにするのか?!な感じで
共感出来ず。妻の不満も当然でしょーーに、被害者ヅラの夫。

突然現れた美人東大教授。これが都合よすぎ~
謎解きのお手伝いに大活躍。
主人公もあらら、数日前に一人息子を亡くしてるのに(汗)、女性にふらふら行きそう。
写楽の謎解きに張り切り過ぎなような、違和感。
記憶にある、六本木ヒルズでの回転ドアによる事故を取り入れてて
この話は・・・写楽には関係ないようなので、なくても良かったのに。
息子の事故死ネタはいらない。

謎解きは、とても面白かった。
さすが推理小説家の構想20年の大作。

ここからはネタバレ~

膨大な資料の説明は事実として考えるよ。
これは存在してるのよね?
源内さんの痕跡とかも。
最初は源内さんが刑死せず、田沼意次の意向でひそかに匿われてた、って考えてて・・
その後の資料により、実は外国人が描いたのでは?という展開に。
当時だから外国人と言えば、江戸で将軍に謁見してたオランダ東インド会社の人達。
ちょうど絵に描かれた歌舞伎が公演されてた時に、3人のオランダ人がいて・・・

内緒で夜公演を見させて、絵を描いてもらい下書きに。
絵を清書したのは、出版元の主人に大恩のある喜多川歌麿。
最初の大首絵だけオランダ人で大人気に、残りは作風も違うし日本人だったので、だんだん廃れた。

だから、10カ月間に豪華な浮世絵を144点も出して(無名新人にそんな豪華待遇は有り得ないが)、
忽然と姿を消し、周りの誰もが口を閉ざし(外国人が絡んでるとは犯罪なので言えない)、
本人の名乗り出も噂もなかった(有名浮世絵師なら自分だと言ってもよさそうなのに)。
ひとつ、能役者が写楽だと書いてる資料はあるが、武士御用達の能役者が歌舞伎の絵を描くか?
当時春画のイメージあるので描かないのでは?

絵が独創的で、初めて歌舞伎を見た驚きのような・・・というのから、今回の謎解きが始まっている。
いろんな資料が見つかり、つながっていく様はとっても面白くて、おーーって感じ。

その分、ラストの尻切れ感が残念。
裁判や離婚、教授との話は?そして本の出版は?最初の肉筆画の謎は?

どうも予想外に長くなって、書けない羽目になったらしい。
連載小説の形で発表されてたみたい。
うーーん、人物の家族背景描写はいらなかった。別に普通の研究家でいいじゃん。
源内つながりのエピソードも長すぎるかな。

3回、途中で「江戸編」として出版元の蔦屋がメインの話が出て来る。
最後の、オランダ人と蔦屋主人の話はよかったんだけど~前のストーリーは
読みづらくて飛ばしちゃった。長い。

と、微妙な点はあるけれど、謎解きの様はとっても面白かった。
ただ、状況証拠でしかないので、証明はできない。


個人的には・・・
面白い説だけど~数時間で↑の絵、下絵でも何枚も描けないような気が。
もちっと普通の人は?
無名の外国人というなら、無名の天才画家でもいいわけで。