本「紫禁城」入江曜子ーより
 
清代の紫禁城内の様子。一部略。
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清朝では皇帝・大后・后妃が用いるポータブル式便器を官房、
それ以外の臣下のものは便盆と呼んで区別する。
・・トイレットも一定の場所があるわけではない。まず主人から「官房を伝えよ」と声がかかると、
係の宮女たちはただちに行動をおこす。1人は官房承り係ともいうべき太監に命令を伝える。
それを承った太監は雲龍模様の黄絹で覆った便器を恭しく頭上に捧げて居宮の門まで運び、・・
そこで運搬役の宮女に渡す。この間、別の宮女は主人の衣服をくつろげ帯紐を外し、さらに別の
1人が官房の下に敷くための約2尺平方の油布を準備する。使用後、宮女は官房を捧げて門まで
行き、待機していた太監に渡す。彼は恭しく受け取ると黄色い覆いをかけ、頭上に捧げて去る。
そこには洗う係、拭き清める係、香木のチップスを詰める係などそれぞれ専門の太監がいて
素早く処理するため、あたりに臭気が漂うことはない。
ちなみに排泄物は暖房の灰で覆われ、城外に搬出される・・
官房の材質はほうろうびき、銅製、木製など種々であるが・・
 
太監:漢族の宦官
宮女:宮殿内で直接后妃の身の回りの世話をする宮女は満州族の中でも上三旗の家柄に限られた。
    外観の点で女主人を凌ぐことのないよう細かい規定がある。衣服の色、材質、髪型は引詰めに結う。
    女官が美しく装う事は、女主人にたいする越権ないしは反逆とみなされる。
 
ちなみに西太后一人のために太監20人、宮女30人以上が宮殿付きとして日夜奉仕にあたった。
 
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油布にチップス、灰は、防臭・衛生上合理的だったかな。
 
中国に習ってたと思うから、李氏朝鮮王朝でも同じ感じだったかな。
お付きの人数はここまでじゃないかもだけど。
 
ドラマ『宮廷の・・』では、お付きの女官も綺麗な化粧にヘアスタイルで、↑の話とはだいぶ違うね~