カンクンを出る。
カンクンでお世話になった宿はロサス７という日本人宿。
私はここを勝手に「奥谷さん家」と呼んでいる。
奥谷さんというおじいちゃんがやっている。
本当に良くしてくれた。おもしろい人だった。
田舎のおじいちゃん家に来たように居心地が良かった。
そんなチーさんのおじいちゃん家は大都会にあったなあ…。
奥谷さん家、良い所だったな。
カンクンを出て、向かうはパレンケ。
カンクンを15時に出発してパレンケに到着するのは翌朝6時。
15時間の大移動です。
前日に、奥谷さんに教えてもらったオフィスでバスチケットを買い
当日、時間前にバス乗り場に行くチーさんとふみちゃん。
あのジジイ…。
こんなオンボロバスで夜を過ごしたことはアフリカでもない。
やられた…。たった今、不安になった…。
と、とりあえず荷物を預け…
いや犬！！！
大丈夫なの？犬そんなところに入れても。
ローカル臭がすごい。
これで一晩……。
席に着き、エアコンなんて無いバスは窓を全開にして走り出す。
外は灼熱ではありますが走り出せば入ってくる風が涼しい。
湿った風のでおかげで、チーさんの顔はベタベタです。
顔にストールを被って風が直に当たるのを防いでみたり。
座席と背中の接地面は何もしていないのにじんわり汗ばむ。
このバス移動は、快適じゃない。
でも
私はまた、きれいな夕焼け空を見た。
旅しながらの、贅沢だな…。
とても贅沢。
時間もあるから、いろんなことを考える。
それはもう、考えなくていいようなことから、何でも。
こういう時間も思えば、贅沢。
日本にいたらボーッとする時間は少なくて
自分の時間が欲しいとなんとか時間を作るほど。
いろんなことを考えてたのに
チーさん頭がよくないから全部忘れました。
だから、その時考えてたことを忘れないようにいつもメモするんです。
そのメモを見ながら、書きますね。
例えば友達が悩んでいた。
どうして悩んでしまったのか。
出来るだけその友達の気持ちになってみることが出来る。
職場で置かれている立場。
家庭の環境。
その人の性格。
例えば恋人とケンカした。
どうしてあの時自分は怒ってしまったのか。
どうしてあんな言い方しかできなかったのか。
相手が言った言葉の意味は、本当はこうだったのか。とか。
私は余裕がなくなる時がよくある。
旅中でも、日常でも、いつでも。
でも、余裕のある時は思い返したり、
相手の気持ちの深い所まで
考えることが出来ることも知ってる。
時間を設けて出来るだけ多くのことを考えることは私には必要。
そしてその時間があることはちょっと贅沢なのかも。
乗る前は、
バスを見た時から「いやだいやだ」と思っていたけど
このオンボロバスで移動する時間が
なんか旅っぽくていいな、と思い始めていた。
トイレに行きたいと思っていたころに
タイミングよくバスはトイレ休憩に止まった。
ドアは今にも取れそうな古びた木の板。
便座はもちろんない。
紙は入り口でお金を払ってもらう。40円だったかな。
水洗レバーがなかった。
用を足したら外に置いてある
水の入ったバケツを取りに行き
それを便器に向かってぶっかける。
そして外にある大きなタンクから
水を汲んで次の人のためにおいて置く。
このトイレも久しく見ないパンチの利いたものだった。
もちろん私もその一連の流れをマネしてやってみる。
「よし。出来た。」
完ぺきにこなせた自己満足。
ただのトイレの水洗の作業。
それが出来ただけでちょっと嬉しくなる。
こんな経験は日本にいたら絶対することはないし
あったとしてもまず、こっちを選ばない。
旅でしか出来ない経験と味わえない感覚。
不自由の中に見つける贅沢を幸せと思う感覚。
うん、悪くないと思う。
きっとその感覚が鋭くなると
日々の中で感じる幸せの数は、増えるね。
これは、日本にも持ち帰らなくては。
忘れないように、ここに書いている所もある。
自分はまだそんな些細なことにもワクワクできるんだ。
「日常」になってしまってたと思ってた「旅」の中には
まだまだワクワク出来るところはたくさんあったみたい。
このバスに乗って良かったとさえ思った。
変だな。
奥谷さん、ごめんね。
今日も読んでくれてありがとうございます。
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明日の更新もお楽しみに。
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チー旅。2位なんだって。すごいね。