明日は渡す。何があっても渡さないといけない。


翌日確か昼休みくらいに、
メールで会えないかどうか尋ねた。


部活が終わって携帯を見たけど、返信はなかった。

思いきって電話した。


「……ツーツー……」

何度かけても。

なんだ、今まで拒否されていたんだ。ショックで空を見上げて泣き叫んだ。感情のダムが決壊し、溢れ出し、自分ではどうしようもせき止められなかった。

でも、意地になって渡さなきゃ死ぬってくらいに精神が錯乱していた自分を恐ろしく感じつつ、渡すことを貫く決心をした。

彼の友達に電話し、彼を駅に呼び出してもらった。

「なんか携帯の調子悪かったみたいやで。駅に行くって言ってたよ。」

嘘でも、その言葉に救われた。


戦場に向かう兵士のような気持ちで、駅に向かう。

このエスカレーターを登りきったところに、彼はいる。

そう思うと緊張し、やっぱりむり、って何度も同じエスカレーターを登り降り。
プラムの木-2011012722190000.jpg

でも、気持ちはまだ変わらなかった。

いっそのこと嫌いになれば楽だと思ったが、完全に呪縛にかかっていた。

バレンタインが近づく。想いを伝えてすっきりするか、そのまま好きでいるか、悩んだ。


……伝えよう。


そう思うとあとは一直線。まずはプレゼント選び。手作りのストラップ。ロックを聞くのでドクロビーズを紐に通す。


次はチョコ作りだ。ここでなぜか人と一緒が嫌いな性格が発揮されてしまい、チョコタルトを作ることに。
料理の「り」の字も出来ないのに。

結果は見事にタルト生地が崩れ大失敗。もうこの世の終わりかってくらいに泣いていると、

いつも冷たい姉が現れる。
崩れた生地、そしてチョコと、冷蔵庫にあったチーズを混ぜ、あっという間にチョコチーズケーキを焼いてくれた。

神か………。


ありがとうお姉ちゃん!
高校1年のある日。

一目惚れした彼は、何よりも笑顔が素敵であった。


中学の片思いより、一つ携帯とゆう武器を手にした私はメールアドレスを交換した。

積極的にメールを送りお互い好きな歌手のMDを交換し合った。

一度だけカラオケに遊びに行ったこともある。

しかし彼がタバコを吸っているかも知れないという噂を聞き、友達にその不安をメールで送った。


………が、なんと送った相手は片思いの彼であった。
まさかの誤送信。必死に弁解したが、その日を境に彼との距離は遠ざかっていく。

廊下ですれ違っても、まともに目を合わせられず気まずいまま。
ひとつやふたつあるのは仕方がない。


けどそのひとつやふたつが、許せなかったときは自分の中でどう処理すべきか。

こんなこともあるとスルーするのか、

見切りをつけるのか、

その答えは誰が教えてくれるのか。
バレンタインの苦くて切ない思い出は2つある。


ヨボヨボのおばあちゃんになったら忘れてしまいそうだから、

思い出した時に書いておく。


中学3年間片思いだった野球部の素朴な渋い彼。
何が好きと言われれば、ズバリ「渋いその雰囲気」。


バレンタインの日、ライバルが一人いるという情報が入った。

いや、わたしの方が思いは深い。それは揺るぎない自信であったが、なぜか妙に気にしてしまう。

他にライバルはいなさそうだ。先攻か後攻か。


敢えて重たすぎない買ったチョコの方がオシャレだろうと思い、
かわいすぎずちょっと海外な感じのデザインの缶に入ったチョコを渡した。

先攻だった。


ホワイトデーには何も返って来なかった。
家に帰るまで何か起こらないか期待したけど、何もなかった。

バレンタインの日期待して無駄に学校から帰らない男子の気持ちが見に染みてわかる。

でも次の日から、いつも通り話をしてくれた。それで十分だった。


卒業式の日、改めて想いを伝えた。結果は、

付き合うとかに興味がない
だった。


泣かなかった。3年想い続けやっと言えた達成感と、私も付き合うってわからなかったからだ。


これぞ片思い。

正しい片思いをしたな。