世田谷パブリックシアターにて

レバノンの作家ワジディ・ムアワッド、上村聡史演出


まず、上山演出に呼ばれた中島裕翔さん、スタート社では唯一好きな俳優、

が、だいぶ前のピーターパンでは、普通すぎて記憶に残らず。

だから、上村演出に?とびっくりした次第。

が、今回は、すごく上手くなっていて、難しい役柄を真摯な青年としてこなしました👏👏








今も戦火にあるあの世界の長い長い戦争はまだまだ終わらないだろうなと思わせられ、胸にずんと来ました。

アラブ人とユダヤ人たちの、決して相容れない宗教、宗教からくる差別、歩み寄りのないそれぞれの世界観が、何百年も戦火が繰り返されながら、個人の思い、家族の思い、人々の思いが潰される戦争は、果たしていつ終幕するのか?


中島の父役の岡本健一の死の間際の独白の迫力が圧巻でした👍👍👍

怖いくらいの言葉の繋ぎ。息遣い、表情。

世田谷パブリック会員で前列をもらい、平日立見、三階までいっぱいの会場でも、間近で、ここの会員は外せないなあと思いました(年間お茶券もついてるから、開演前にお茶飲みます)

ユダヤ人の祖父に相島一之、離婚した祖母に麻実れい、中島の母に那須佐代子、父に岡本健一、恋人のアラブ人に岡本玲

このキャストは、上村さんの前の3部作にも出てます(森フォレは観た)


生粋のユダヤ一家にまいこんだ息子の結婚話、よく調べたら、恋人は敵と称されるアラブ人学生。

そこからはじまる数々の決して歩み寄ることのない大反対。

が、祖父と離婚した祖母だけは、お茶をにごしながら、苦悩する。

じつは、先の戦時下で瓦礫の中から泣いていたアラブ人の赤ん坊を助けてしまい、秘密裏に育てることになった赤ん坊こそが、父の岡本健一。

ラストに事実発覚し、病気で死に向かう父、ユダヤ人として育てられた自分がアラブ人だった苦悩は計り知れなく、死の独白に繋がる。

若い中島裕翔ファンは、これをどう観たか?

我々は、遠い国とはいえ、行き場のない人々、宗教という強烈な信仰心への、日本人では計り知れないおおきなものは、脅威にもなるんだと、思い知らされました。

なんとか、寄り添えないものだろうか?

世界平和のために、とずんときた舞台でした。