耐えた
踏み込まないように
望まないように
そして
嫌なことは飲み込んだ
わたしはいくらでも飲み込める
どんなに飲み込んでも
身体も壊れない

あの子の邪魔してるけど大丈夫?
という人がいた
たぶんみんな気付いてる
あの子は慎一郎のことが好き
わたしはどうぞと譲った

帰りの電車の中
あの子はしれっと
慎一郎の上着の裾を掴んだ
しばらくわたしに見せつけた
そして
いろいろありがとうねと
わたしにわからない話を持ち出した
2人だけの話題を
さりげなくアピール

慎一郎はそれだけ人気者で
愛されていて
近寄れない

やっぱりわたしは
何番目なんだろう…
みんながいるときには
話せない


帰り際にぎゅっと手を握ってくれた
愛だと信じたい
せめて握手を…と思っていたのが
実現できた
思わずぎゅっと握り返した

握手ではなく
握ってくれたこと
嬉しかったなぁ…
悲しかったなぁ…
辛いなぁ…


もう少し一緒にいたいと
コーヒー一杯だけ付き合ってと
言えなかった

今日はもう眠たいと
限界っぽくしてたから
邪魔したくなかった

でも次は
お願いしてみようかな

あと少し
おしゃべりしたいなって