Snowy prince・174「Snowy」
「それで、その特別な木っていったいどんな木?僕は何をすればいいのかな」
「それぞれの国の中心に植えたいんだけど、火の国には氷の木を。こちらには炎の木を」
「、、、あぁ、なるほど。そういう事か。頭いいね」
「そっちこそ。察しが良いね(笑)」
両国にそれぞれの木を植える意味は、単なる友好の証だけではない。
環境が安定しているかどうかの目安、という役割を兼ねる。
つまり、ふたつの国は正反対の性質を持つため、
平均気温や人々の体温などに差があった。
その差を解消するため、国の要に宝石を納めて環境を整えたのだが、
ユノが植える木とは、それがひと目で分かるものだ。
「火の国に植えた氷の木が解けない限り、こちらにある炎の木が凍ってしまわない限り、気温は安定しているという事だね」
「そう。毎日の天気予報で気温の報せはあっても、目に見えるものがあった方が分かり易くて良いだろ?」
「うん。すごく良い」
両国統一の発表は、儀式を終えて直ぐに政府から全国民にされており、
ヒニムが取り掛かっているトンネルが出来次第、
誰でも自由に行き来しても良い事になっているのだが、
ユノはその前に木を植えたいらしい。
「要するに僕は、その木に氷の魂を吹き込めばいいんだね」
「そう。それで、植える種はミノに頼んでも良いのかな」
「遠慮がちな言い方(笑)、もちろん良いに決まってる。彼は植物族の本家だし、すでに父親である公爵から権威を譲り受けてる。快く種を作ってくれるはずだよ」
ユノがどうして遠慮がちだったかというと、
実は最近のミノはヒニムからの依頼で
両国を繋ぐトンネルを花で埋め尽くすために
毎日ヘトヘトになるまで沢山の草花を、
植えて、植えて、植え続けているからだ。
そんなわけで、大変な状況ではあったものの
ミノは二つ返事で頼みを受け入れてくれ、
三日も経てば立派な木になるという、成長の早い特別な種を作ってくれた。
僕とユノはすぐに火の国へ行き、
陛下の許可を頂いてから街の中心部にそれを植え、
ミノが言った通り三日後には、小さな氷の実が光る、大きな木になった。
そしてSnowy王国には、
ユノが炎の魂を込めた種が植えられ、
こちらも三日後には、小さな赤い実をつけて大きく育った。
そしてその頃にはヒニムのトンネルもようやく完成し、、、
というよりも、
ヒニムこだわりの飾りつけが完了したという事で、
いよいよめでたく開通の日を迎えた。
これまで長い間、互いを必要としながらも関わる事の無かった国。
近くて遠かった国が、いま、ひとつになる。
輝かしい革命の時。
全国民が参加する盛大なセレモニーは三日三晩も続き、
最初は多少なりとも警戒し合っていた人々はすっかり打ち解けて、
僕もユノも、やっと心の底から安心した気がした。
両陛下も多分、同じ気持ちだったと思う。
とても良いお顔で微笑んでいらっしゃった。
つづく
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今回もSnowyに会いに来て下さり、
ありがとうございます
(:D)┓ペコリンチョ
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